第159回国会 予算委員会第六分科会 第2号(抄)
 平成16年3月2日(火曜日)
北村主査 次に、松本大輔君。
松本(大)分科員 民主党の松本大輔です。広島二区選出の一回生議員です。どうぞよろしくお願いします。
 本日は、林野庁で行われております大規模林道事業について取り上げたいと思います。
 まず、公共事業に対する我が党の立場を述べさせていただきたいと思います。
 昨年ですけれども、私たちはマニフェストを発表しました。その民主党のマニフェストの重点政策「五つの約束、二つの提言」の一つに、むだな公共事業の中止があります。これまで税金をむだに使ってきた自然破壊型の公共事業を改め、自然回復型の新しい公共事業への転換を進める。本分科会に関連したところで申し上げれば、農業土木予算を使って山や森が切り開かれ、美しい川が破壊され続けるようなことはもう終わりにしたい、そういう誓いを立てたわけでございます。
 本日は、そうした、我が党そして私の考えに共鳴してくださり、私をこうして国政へと送り出してくださった地元の皆さん、何人かの方は、今、インターネット中継で、危なっかしいなと思いながらごらんになっているのかもしれません。そうした方々を代表しまして、地元広島二区で行われようとしております大規模林道事業についての質疑を進めていきたいと思います。
 さて、私の選挙区は、広島県の西部ということになりますが、島根そして山口との県境に近い山合いに廿日市市吉和というところがございます。ここには細見谷と呼ばれる渓谷がありまして、お手元には用意していないんですが、こういった非常に美しい渓谷であります。西中国山地国定公園にも指定されておりまして、原生状態のブナやミズナラの生い茂る渓畔林、こういうぐあいのところなんです。
 昨年の十二月六日ですけれども、私も、こんなふうに長靴を履いて、雨がっぱを着て、現地に赴いてまいりました。細見谷の渓畔林、手つかずの自然というものをこの目で確認してまいりました。きょうは答弁でお疲れの大臣も、ぜひ一度、現場へお越しいただけるようにお願いしたいと思います。このように、絶滅危惧とも言われておりますが、ツキノワグマの落とし物にも出会えてしまうという、いやされること受け合いでございますので、ぜひ一度御検討いただきたい、そのように思う次第でございます。
 私の感想は以上にしまして、まずは、環境省としての立場から、細見谷についての御説明をいただきたいと思います。大臣でなければ副大臣、せめて政務官、本来であればそのように申し上げたいところなんですが、きょうはそろってお忙しいということでございますので、環境省の方、細見谷に生息する動植物について、レッドデータを絡めてお聞かせください。
小沢政府参考人 細見谷の自然植生などの状況についてのお尋ねでありますが、専門家による調査報告によりますと、細見谷渓谷には、環境省レッドデータブックに掲載されておりますオモゴウテンナンショウ、ノウルシなどの植物が見られます。また、広島県のレッドデータブックに掲載されていますオオマルバノテンニンソウなども確認されるという報告がございます。
 それから、この地域周辺一帯は、今お話のありましたように、イヌブナ、コハウチワカエデ、アカシデなどを主体とする落葉広葉樹林が広がっておりまして、貴重な自然林となっていることから、昭和四十四年に西中国山地国定公園に指定されているところでございます。
松本(大)分科員 ありがとうございます。
 日本が世界に誇ることのできる自然豊かな細見谷という地域なんですけれども、林野庁所管の独立行政法人であります緑資源機構によって、大規模林道事業、こういう名前の公共事業が二〇〇四年度にも着工されようとしております。
 まず、この大規模林道事業について林野庁長官にお伺いしたいと思います。大規模林道事業、特にこの細見谷を通る戸河内―吉和区間についてお聞かせください。
前田政府参考人 御指摘の大規模林業圏開発林道でございますが、これにつきましては、豊富な森林資源を有しているが、地理的条件が悪く、森林整備や林業を中心としました地域振興を図る必要のある地域、全国で七圏域でございますけれども、そこにおきまして、地域の林内路網の骨格となります幹線林道として、緑資源機構の方において整備を実施しているものでございます。
 御指摘の戸河内―吉和区間でございますけれども、中国山地におきまして、地形的、社会的な背景から林内路網の整備がおくれている中で、中国山地南側の森林地域を東西に結びます大朝鹿野線の一部を構成いたしておりまして、戸河内町城根から廿日市市吉和西までの計画延長二十五・五キロでございまして、計画事業費は約九十六億円となっております。
 戸河内―吉和区間につきましては、お話ございましたように、平成二年から工事に着手いたしまして、平成十四年度末までに十・八キロが完成、進捗率四二%となっておりまして、平成十六年度中には戸河内町城根から二軒小屋までの十一・一キロが完成する見込みでございます。
 今後、二軒小屋と吉和西間の整備に移行していくこととなるわけでございますが、当該箇所につきましては、平成十二年度の期中評価結果を踏まえまして、幅員を五メートルに縮小、大規模林道と申しますのは、基本は全幅七メートルの完全舗装となっているわけでありますが、ここにつきましては幅員を五メートルに縮小するとともに、特に細見谷、この渓畔林を通過する部分につきましては、既設林道が今ございます、これは四メートル程度なんでございますけれども、これは原則として拡幅せず、また緑資源機構におきましては、動植物、地下水あるいは地質、こういったものに関します調査を行いまして、専門家によるその結果を踏まえた影響予測、そういった必要な保全措置を検討することにいたしておりまして、今後とも、地元の要望を踏まえ、環境保全に十分配慮しつつ、事業を実施してまいりたい、かように考えている次第でございます。
松本(大)分科員 ありがとうございます。
 本件事業に関しては、地元紙も取り上げておりまして、これが配付させていただきました資料でございます。表裏、A4の一枚なんですけれども、こちらをちょっと御参照いただきたいと思うんです。
 本件事業に対して、日本生態学会が総会決議というものを出していらっしゃいます。ここで、その内容の一部を御紹介させていただきたいと思います。
 「細見谷は、西中国山地に残るよく保全された渓畔林として全国的に見ても貴重である。」「二〇〇四年度に計画されている当該区間の着工がもし実施されれば、「渓畔林部分は原則として拡幅しない」とする工法をとったとしても、林道沿いに集中して分布する多種の植物種の生育地や小型サンショウウオ類の生息地の破壊は避けられない。また、いかなる種類の舗装工事も林道下を伏流して渓畔に至る豊富な地下水を遮断して渓畔植物群落に重大なダメージをおよぼし、渓畔林の衰退をもたらす恐れが強い。」このように述べた上で、日本生態学会として、工事の中止それから細見谷地域における地質、生物の公開調査、さらには水源林、水辺林管理の新たなモデル地区とすること、以上を求めておられます。
 また、昨年十二月二十五日には、地元NGOであります細見谷保全ネットワークが中心となりまして集めた、細見谷渓畔林保全を求める署名三万九千三十二筆、こちらが公共事業チェック議員の会の仲介によって、農林水産省と環境省に提出されております。これについては、亀井農林水産大臣も環境省も御存じのことと思います。
 陳情書では、細見谷を「国指定の保護対象地域とし、あわせて国際的な「登録生態系」として、これ以上傷つけることなく、子々孫々引き継いでいけるように厳正な保全措置を講じること」、そして工事の中止、さらには三点目として「持続可能な水源林管理のモデル地区とすること」、以上を要望していらっしゃいます。
 学術的な見地からも、先ほどの日本生態学会の総会決議でございますけれども、それから今述べさせていただきました四万人近い民意からも、我が国が世界に誇れる細見谷、この自然を守るべきとの意見があり、さらに、実際に現地を見てきた私から見ても、失われようとする自然の価値の方がはるかに大きい。本件は林業振興に名をかりた不要不急の公共工事である、そのように考えますが、ここで環境省にお伺いいたします。
 日本生態学会の総会決議、そして四万人近い署名に対して、環境保護強化の姿勢を打ち出すべきと考えますが、例えばラムサール条約は適用できないのか、もしそれが難しければ、ほかに保護強化のための方策はないのか、お聞かせください。
小沢政府参考人 現在、細見谷地域の大部分は、西中国山地国定公園の第一種及び第二種特別地域として指定されております。日本生態学会あるいは地元の細見谷保全ネットワークなどの団体から御要望いただいておることは十分承知しておりまして、この中では、例えば自然公園法上の特別保護地区に格上げしてはどうかというような保全対策の強化に関する要望をいただいておるところであります。ただ、特別保護地区の指定につきましては公園計画を変更する必要がありますが、その変更の前提としては広島県の申し出が必要でございます。
 それから、ラムサール条約の件について、私どもなりにいろいろリストアップをしながら検討を進めておりますが、率直に申し上げて、細見谷地区は、その対象としては少し遠いかなというふうに考えております。
 いずれにしましても、先ほどいただいた要望につきましては、自然公園法上の取り扱いもございますので、環境省から広島県にお伝えをしております。広島県から、今後、関係者と調整の上、公園計画の変更などの申し出がありますれば、適切に対応してまいりたい、このように考えております。
松本(大)分科員 ラムサール条約については、確かに水鳥、渡り鳥の保護という当初の趣旨はあったと思いますが、ただ、後段というか、それ以外の湿地についても割と柔軟な姿勢で臨めるような、そのような趣旨で私は理解しております。
 ただ、いずれにしましても、公園計画の変更、特別保護地区への格上げは検討可能であるということはわかりました。
 今度は農水大臣にお伺いします。
 日本生態学会総会決議、四万人近い署名に対してどうお考えなのか、大臣の御見解をお聞かせください。
亀井国務大臣 委員御指摘のように、戸河内―吉和区間の二軒小屋―吉和西工事区間につきまして、日本生態学会総会決議、またあるいは七団体になりますか、要請を、陳情をちょうだいしておりますことは承知をし、環境保護団体の関心が高いことは認識をいたしております。
 一方、旧吉和村村議会におきます、当該区間の早期完成を要望する地方自治法第九十九条によります意見書の採択、あるいは早期完成を求める六万七千名の署名をちょうだいし、また町村合併後の廿日市市長による事業推進の意向などから、地元においては事業推進に向けた強い要望があることも認識をいたしておるわけであります。
 そういう中で、平成十二年度の事業再評価結果を踏まえまして、緑資源機構においては、細見谷の渓畔林部分の保全に必要な調査等を実施するとともに、第三者の複数の専門家の意見を聞きまして、当該区間の整備の具体的方法につきまして検討していくものと承知をし、適切に対処するよう指導してまいりたい、このように思っております。
松本(大)分科員 地元からの強い要望があった、それは合併後も変わらないということなんですけれども、ただ、反対サイドの署名というものも、十二月時点で、先ほども申し上げましたとおり、四万人近い署名を集めているわけでございます。
 いずれにしましても、大規模林道事業は不変という農水大臣の御趣旨だと思うんですが、なぜそうまでして戸河内―吉和区間において大規模林道事業を推進するのか、その具体的理由は何なのか、農水政務官にお伺いしたいと思います。
木村大臣政務官 松本委員御承知のとおり、この戸河内―吉和区間は、太田川上流に位置する中山間地域の林道網の骨格をなすものであります。
 具体的に挙げますと、例えば、受益地の森林の四割以上を占める人工林のほとんどが四十五年生以下の間伐が必要な森林となっております。そういうことも考えますと、戸河内―吉和区間の整備によりまして、間伐等の森林整備が進みまして、そして、森林の持ついわゆる多面的機能、例えば水源涵養機能等を発揮させることにもつながりますし、また、先ほど大臣からの答弁もありましたが、地区の林業に従事されている皆さんから大変熱望されておりまして、皆さんの林業経営の効率化にも期待できるというふうに私ども考えております。
 また、本区間は、旧吉和村、戸河内町、芸北町を結ぶルートとして、森林レクリエーション等森林の総合利用を中心とした新たな入り込み増加による地域の活性化というものも地元でも大変期待しているようでありまして、林道の整備によりまして生産環境が改善されること、あるいは御当地の特産でありますワサビの生産振興にもつながる、こういったいろいろなプラス面もきちっと見きわめながら対応していきたいというふうに思っております。
松本(大)分科員 ありがとうございました。
 一つずつ順を追って検証、反論していきたいと思います。
 平成十二年五月、参議院の行政監視委員会で、政府参考人より、平成八年度末の大規模林道事業投入事業費は累計で四千二百億、木材生産上の効果は千六百億という答弁がなされております。そもそも、大規模林道事業の木材生産上の効果は、到底投入事業費に見合うものではないわけです。
 政府参考人自身、当時「自然環境保護への意識の高まりや森林施業をめぐる情勢の変化を踏まえるとともに、費用対効果の観点から事業効果を総合的に明らかにすることが肝要」、こういった指摘をなさっていらっしゃいます。そのとおりだと思います。
 順を追って検証、反論していきたいと思います。
 まず、御指摘の間伐の必要性についてであります。
 一般的な人工林管理における間伐の必要性については私も認めるところであります。しかし、その間伐材の運搬は、渓畔林の保全上、人工林地域から渓畔林地域をまたいで林道へと引き出すことはできないものと私は考えております。よって、間伐の必要性上、渓畔林地域を通る大規模林道が不可欠である、こういう根拠は成り立たないのではないでしょうか。また、振興すべき林業が果たして地元、こちらにどの程度あるのか、非常に疑わしいとも思っております。
 林業振興について、二点目として反論させていただきたいと思います。
 先ほど、大規模林道事業全体の投入事業費に対して木材生産上の効果がどれだけあるか、投入事業費に見合うものではないという御指摘をさせていただきましたが、本日取り上げております戸河内―吉和区間二十五・五キロのうちの未着工区間十五・四キロ、いわゆる細見谷周辺は、ほとんどが国有林、西中国山地国定公園の中にある水源涵養保安林、先ほども政務官御指摘のとおりであります。この地域、伐採も規制され、木材の生産よりも水源確保が優先される地域というものが本来的な位置づけであると理解しております。特に、渓畔林部分はその中でも数少ない自然林、十方山風景林と呼ばれ、美しい景観を誇る地域であります。果たしてそのような地域を大規模林道にする必要があるのでしょうか。
 三点目としまして、先ほど、観光道路等としての需要があるということでございましたけれども、あるいは生活道路、検証してみたいと思いますが、この区域に集落はありません。生活道路としての需要はそもそもないと思います。では、観光道路としてはどうか。
 現在、吉和から筒賀村、戸河内町へ通じるルートは、中国縦貫道、国道百八十六号線、県道、三本も並行して走っております。今回の計画は最も山深い地域を通るものであり、ここは県内でも有数の豪雪地帯であります。冬季には、四カ月あるいは五カ月間使用不能となる。既に三ルートもある上に、一年のうちの半分近くが利用できない道路に、観光道路として推進する理由がどこにあるのでしょうか。
 地元の経済振興ということで、ワサビ栽培と御指摘がありましたけれども、例えばワサビ栽培などは、そもそも自然林を伐採し、杉の人工林化が進んだ結果、森の保水量が減少し、肥料となる有機物の補給が途絶えて、生物相が貧弱化したことの影響であると考えます。すなわち、これまでの官僚主導による林野行政の失敗のツケと見るべきであります。そのツケを棚に上げて、大規模林道化したことで交通アクセスがよくなるからワサビ栽培が盛んになるといった子供だましの論理は、全く国民をばかにしているとしか思えません。私には、農水省のおっしゃる地元経済の振興が、地元の土木建設業者の振興と言っているように聞こえてならないのであります。
 加えて、地盤の問題について少しつけ加えさせていただきたいと思います。
 地盤の問題というものは、建設費や補修費についても大きな影響を与えます。実際に、同じ地質で建設された道路、岡山県の大規模林道では、補修と崩落を繰り返し、そのコストは多大なものになっていると聞きます。これは国だけの問題ではなく、維持費を負担する地元自治体、廿日市市にとっても将来にわたって大きな負担となります。
 冒頭にも、環境保全に十分配慮して工事をするという話もありましたけれども、先ほど御紹介しました日本生態学会決議によれば、拡幅しない工法をとったとしても、植物種の生育地や小型サンショウウオ類の生息地の破壊は避けられないし、いかなる種類の舗装工事も渓畔植物群落に重大なダメージを及ぼす、渓畔林の衰退をもたらすおそれがあると明確に指摘していらっしゃるわけでございます。
 これまでの答弁で明らかになったのは、時代の流れや国民のニーズの変化に対応し切れず、大胆な政策判断のできない官僚主権国家の姿であります。そもそも、官僚機構には大きな方向転換を決める主体的判断を期待できない、そういうことなのかもしれません。
 だとすれば、大臣、先ほど引用しました、「自然環境保護への意識の高まりや森林施業をめぐる情勢の変化を踏まえ」という政府参考人の過去の答弁を真に意味あるものにしていくのは、連続性を断ち切る大臣の勇気、政治的決断、御英断であります。いけずな行政に温かい血を通わせるのが政治の役割だ、そのように私は思っております。
 大臣、林業振興に名をかりた不要不急の公共工事であるばかりか、世界に誇れる日本の財産、細見谷を破壊しかねないこの大規模林道工事を中止すべきであると私は考えますが、亀井農水大臣の見解をお聞かせ願えますか。
亀井国務大臣 今いろいろ御指摘をいただきましたが、一方では、今日までいろいろ地元の皆さん方の御要請もあるわけでありまして、さらに、森林・林業整備、私も先般、地方に参りましても、林業の問題、雇用の問題とあわせて、森林整備の課題もいろいろ指摘をされておるわけであります。
 やはり、この地域にとりましては、その計画をもって林業振興、こういう面も十分加味した中でこの問題の計画がなされたと思います。
 また、環境の問題、いろいろ加味しなければならないところもあるわけであります。時代の要請、このことも十分考えなければならないわけであります。
 そういう中で、緑資源機構におきましても、専門家等々のいろいろの意見を踏まえて対応することも考えておるわけでありまして、十分それらを含めた中で、この問題は計画を実施すると同時に、やはりいろいろ幅員の問題等々にも十分配慮して対応してまいりたい、このように考えております。
松本(大)分科員 ありがとうございます。
 繰り返しになりますが、私には細見谷に大規模林道を通す明確な根拠があるとは考えられません。それは先ほど検証、反論したとおりでございます。
 環境影響評価についても触れていらっしゃいましたけれども、細かい工法の話あるいは手続論で民意を酌み取るふりだけを見せて、事業そのものはあくまで存続させようという林野行政の流れは不変であるということだろうと思います。
 本来は、成り行き任せでは損なわれてしまう、かけがえのない価値を守るためにみずから主体的な行動をすべき環境省も、都道府県からの申請を待つ、先ほどの答弁にもありました、受け身の姿勢に終始しているように思います。やはり大きな方向転換を決める、このことが政治に求められているのではないかと私は考える次第であります。
 最後に、そもそも道とはどうあるべきか、この点について触れて、私の質問を終了させていただきたいと思います。
 歴代総理の指南役安岡正篤先生、私の郷里は広島でありまして、その広島の大先輩でもあります。池田勇人先生を初めとする自民党の歴代総理の指南役でもあったわけですけれども、宏池会の名づけ親ということでも有名であります。
 その安岡正篤先生が、道というものについて次のように述べていらっしゃいます。宇宙の本体は、絶えざる創造変化活動であり、進行である、その宇宙生命より人間が得たるものを徳という、この徳の発生する本源が道である、道とは、これなくして宇宙も人生も存在し得ない本質的なものであり、これが人間に発して徳となる、これを結んで道徳という、その本質は常に自己を新しくすることである。こういうことをおっしゃっていらっしゃいます。
 大規模林道事業、中国山地山陽ルートを当時の森林開発公団が基本計画を策定したのは一九七二年、今から三十二年も前の話であります。当時一歳の愛くるしい赤ん坊であった私も、今では立派な中年であります。三十二年とはそれだけの変化が起こり得る年月であります。今求められているものは、道路ではなく、安岡先生のおっしゃるところの道、道徳であると考えます。策定から三十二年も経過した古い計画に固執するのではなく、常に自己を新しくするという道の本質、道徳に立ち返るべきであります。
 事業のねらいであった自然との触れ合いの促進、これをより一層実現していくために、今求められている林野行政とは何なのか、環境行政とはどういうものか、今のままの公共事業のあり方でよいのか。政治家も、そして行政マンの方も、与党もそして我々野党も、謙虚に振り返りつつ常に自己を新しくしながら取り組んでいくべきではないかと考えます。改めるべきところは改める、そして本当に残すべきものを残す、そのように取り組んでいくべきではないか。それが先人として未来に残すべき本当の道、道徳ではないかと私は考えます。
 もしも今の政府・与党にそれができないというのであれば、政府・与党そのものを新しくする必要があります。つまりは政権交代であります。我々民主党はいつでも取ってかわる用意があるということをお訴え申し上げ、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。

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