第7号 平成16年11月2日(火曜日)

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 裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律案(内閣提出)及び刑法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
議長(河野洋平君) この際、内閣提出、裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律案及び刑法等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。法務大臣南野知惠子君。
    〔国務大臣南野知惠子君登壇〕
国務大臣(南野知惠子君) まず、裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
(中略)
 次に、刑法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 近年、我が国の治安水準や国民の体感治安が悪化しているとの指摘がなされていますが、その大きな要因の一つとして、人の身体に攻撃を加えて、その生命や身体等の重要な個人的法益に重大な危害を及ぼす凶悪犯罪その他の重大犯罪の増加傾向が続いていることが挙げられます。
 こうした中で、平成十五年十二月、犯罪対策閣僚会議において、犯罪に強い社会の実現のための行動計画が取りまとめられ、当面取り組むべき重点課題の一つとして挙げられた治安回復のための基盤整備の項目の中で、凶悪犯罪等に関する罰則を整備することが求められましたが、特に凶悪犯罪等については、刑法や刑事訴訟法に定められている有期刑や公訴時効の期間のあり方等が現在の国民の正義観念に合致しているのかという問題がかねてから指摘されていたところでもあります。
 そこで、凶悪犯罪を中心とする重大犯罪に対し、最近の犯罪情勢及び国民の規範意識の動向等を踏まえた上で、事案の実態及び軽重に即した適正な対処が可能になるよう、刑法及び刑事訴訟法等を改正し、所要の法整備を行おうとするものです。
 この法律案の要点を申し上げます。
 第一は、刑法を改正して、有期の懲役及び禁錮を一月以上二十年以下とするとともに、有期の懲役及び禁錮を加重する場合においては、三十年にまで上げることができるものとしています。
 第二は、刑法等に規定された個々の凶悪犯罪等、すなわち、強制わいせつ、強姦、強姦致死傷、殺人、傷害、傷害致死及び強盗致傷等の各罪の法定刑の上限または下限を見直すとともに、二人以上の者が現場において共同して強姦または準強姦の罪を犯した場合等について、新たな処罰規定を設けるものです。
 第三は、刑事訴訟法を改正して、凶悪犯罪等についての公訴時効の期間を延長するものであり、死刑に当たる罪については二十五年、無期の懲役または禁錮に当たる罪については十五年、長期十五年以上の懲役または禁錮に当たる罪については十年とするものです。
 その他所要の規定の整備を行うこととしております。
 以上が、この法律案の趣旨であります。(拍手)
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 裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律案(内閣提出)及び刑法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
議長(河野洋平君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。樽井良和君。
(中略)
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議長(河野洋平君) 松本大輔君。
    〔松本大輔君登壇〕
松本大輔君 民主党の松本大輔です。
 私は、民主党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました刑法等の一部を改正する法律案について御質問いたします。(拍手)
 質問に入る前に、イラクで殺害された香田証生さんと、相次ぐ風水害や地震によってとうとい命を奪われた方々の御冥福を心よりお祈り申し上げますとともに、御遺族並びに被災者の皆様に対し、心よりお悔やみとお見舞いを申し上げます。
 国権の最高機関といえども、御遺族や被災者の皆様の悲しみを消し去るすべはないのかもしれません。であるならば、せめて、悲劇を起こさせない、広げない、そして繰り返させないために全力を尽くしていくことこそが、我々国会議員の誠ではないかと考えます。国民の生命と財産を守り抜くという職責を全うするために渾身の努力を傾けていくことを、国民の皆様に改めてお誓い申し上げたいと思います。(拍手)
 さて、最新の警察白書によると、平成十五年の刑法犯の認知件数は二百七十九万百三十六件にも上ります。その前年に比べ約六万四千件減少したものの、依然として戦後最高水準を維持し続けており、強盗、傷害、殺人、強姦、強制わいせつといった暴力的犯罪が増加しております。痛ましい事件が連日のように報道され、日本は治安がよい国というのはもはや過去の話となっております。
 内閣府がことし九月に実施した世論調査では、ここ十年間で日本の治安が悪くなったと回答した人が八六・六%、自分や身近な人が犯罪に遭うかもしれないと不安になることが多くなったと回答した人が八〇・二%との結果が出ております。こうした状況の中で、凶悪重大犯罪に対する厳正な対処と防止策を講じることは、国民の生命と財産を守る国家にとって重大な責務であると考えます。
 とはいえ、今回の法改正は、一九〇七年に刑法が制定されて以来、およそ百年ぶりの大幅な見直しであります。加えて、あと五年足らずで、国民が刑事裁判に参加する裁判員制度が始まります。裁判員が裁判官とともに、有罪無罪、そして量刑を評議するようになるという観点からも、今回の法改正については、広く国民の理解を得られるものでなければなりません。政府には、国民に対してわかりやすい説明を求めるものであります。
 まずもって確認しなければならないのは、法定刑引き上げによる犯罪抑止効果についてであります。
 人の自由や尊厳を奪い、時には生命を奪う罪であり罰であれば、なおさら、いつもにも増して、情と理、その双方を尽くした議論を行っていくことが我々立法家の責務であると考えます。
 法定刑の引き上げは、凶悪重大犯罪への厳罰化を望む犯罪被害者を初めとした国民の感情や要望にこたえるものである点は理解できます。しかし、その一方で、刑罰を考えるに当たっては、罪刑の均衡という応報刑論的アプローチに加え、犯罪予防を目的とし、効果としてねらうという目的刑論的アプローチを欠いてはならないことを忘れるべきではありません。
 近年の犯罪、とりわけ、増加しているとされる凶悪重大犯罪の原因に関する科学的な分析は行われたのでしょうか。法定刑引き上げによる犯罪抑止効果について、理性的、合理的な検証は行われたのでしょうか。本法案のもととなった前法務大臣の諮問や法制審議会の答申でも、犯罪抑止効果についての説得力ある論証はされていません。
 法定刑の引き上げによりどの程度犯罪を抑止できると考えるのか、法務大臣に伺います。
 次に、法定刑の見直しの基準について伺います。
 改正案では、強盗致傷罪の法定刑引き下げのほかはすべて法定刑の引き上げとなっていますが、その引き上げの幅は一様ではありません。殺人罪の有期刑の下限が三年から五年に引き上げられているのに対し、組織的な殺人罪の下限は五年から六年に引き上げられています。何を基準に引き上げ幅を決めたのか。また、有期刑の法定刑の上限を二十年、加重事由がある場合の上限を三十年とした理由について、法務大臣に説明を求めます。
 次に、窃盗などの財産犯について伺います。
 凶悪重大犯罪の重罰化だけで体感治安は回復できるのでしょうか。
 平成十五年の一般刑法犯総数の約八割は窃盗であります。過去十年で一般刑法犯総数は約百万件増加しておりますが、このうち約七割は窃盗の増加によるものです。その一方で、同じ期間に窃盗の検挙率はおよそ四割から二割を切る水準へと落ち込み、刑法犯全体の検挙率を大きく押し下げる要因となっております。したがって、国民の体感治安の回復には、凶悪重大犯罪だけでなく、身近で起こる空き巣被害などの窃盗犯についての対策をあわせて講じていく必要があるのではないでしょうか。にもかかわらず、今回の改正案には、窃盗などの財産犯については全く触れられていません。
 本法案の提出根拠ともなっている法制審議会の答申には、強盗や窃盗を含めた盗犯に係る罰則のあり方について検討を促すとの附帯決議が付されていますが、今後どのような方向で見直しを進めるのか、法務大臣に伺います。また、窃盗犯対策と検挙率向上に向けた方策について、国家公安委員長に伺います。
 次に、強姦罪について伺います。
 改正案で、集団強姦罪が新設され、親告罪の規定を外して被害者の告訴がなくても処罰できることにしたのは、一定の前進であると受けとめます。しかし、強姦が、被害者の人格や人間性を著しく否定する点で殺人にも劣らない重大な犯罪であるにもかかわらず、懲役刑の下限が二年から三年に引き上げられただけでは、強盗罪の五年に比べても余りにも軽いのではないでしょうか。
 法務大臣は、かねてより、性犯罪に対する法定刑を強盗罪の法定刑より高くすべきであると御主張されていたとのことですが、人の尊厳に対する侵害が物への侵害よりも軽く扱われたままでよいのか、御答弁願います。(拍手)
 次に、刑務所の収容について伺います。
 平成十五年末の刑務所等における収容率は一〇五・八%であり、ほとんどの刑務所において過剰収容状態となっております。法定刑の引き上げで服役期間が長期化すれば、懲役刑に処される者が激減しない限り、過剰収容状態はますます深刻化することが懸念されます。
 厳しい人繰りにより、刑務官が強いられる緊張の度合いも高まっている中で、さらなる過剰収容を進めてしまえば、刑務所が治安の最後のとりでたり得なくなる可能性も否定できません。収容者の増加に対応する施設の拡張、増設、刑務官の増員などを予定しているのか、法務大臣に伺います。
 次に、更生教育について伺います。
 平成十五年版犯罪白書によれば、出所年から五年間における再入率は五割程度で推移しております。およそ二人に一人が出所後五年以内に再入所するという現状で、現行の行刑や更生教育はその目的を達していると言えるのでしょうか。刑務所のあり方や更生教育についての検証もないまま、刑罰の長期化だけが行われれば、受刑者の社会復帰を今以上に困難とし、結果として犯罪と犯罪予備軍をさらにふやしてしまうことになりはしないでしょうか。
 暴力団からの離脱や薬物依存克服に向けた支援強化、職業訓練拡充のための基盤整備など、実態に即した対策を講じるべきときが来ていると考えますが、受刑者の出獄後の再犯防止と円滑な社会復帰の促進に向け今後どのように取り組んでいくのか、法務大臣に伺います。
 次に、公訴時効期間の延長について伺います。
 改正案は、死刑に当たる罪の公訴時効期間を十五年から二十五年に延長するとしています。確かに、被害者や御遺族の悲しみに時効はないでしょう。しかしながら、期間を延長することで、どれだけ犯人の逮捕や事件の解明に効果があるのでしょうか。二十五年たっても、証人の記憶は正確と言えるのでしょうか。証拠の散逸のおそれはないのでしょうか。
 犯人が名乗り出て初めて時効成立後の犯罪が発覚するという悲劇は、捜査体制を充実させ、早期の事件解決を図ることをもって防ぐというのが、被害者並びに御家族、御遺族の救済の観点からも本来の筋ではないでしょうか。法務大臣、国家公安委員長の御見解を伺います。(拍手)
 次に、民主党の刑事訴訟法改正案について伺います。
 民主党は、かねてより刑事手続の適正化を求め、ビデオ録画等による取り調べ過程の可視化と、取り調べ段階での弁護人立ち会い権の確立を目的とした刑事訴訟法改正案をことしの通常国会に提出しました。残念ながら、与党の御賛同を得られずに否決されましたが、法定刑を厳罰化するのであれば、なお一層、刑事手続の透明性、公平性を確保する必要があるのではないでしょうか。
 こうした刑事訴訟法の改正を行う考えがあるのか、法務大臣に伺います。(拍手)
 次に、総合的な犯罪防止施策について伺います。
 政府は、昨年十二月に取りまとめた犯罪に強い社会の実現のための行動計画に基づいて、犯罪対策を実施してきましたが、目に見えた効果は上がっていません。ことし上半期の刑法犯の認知件数は、昨年同期に比べ減少したとはいえ、検挙率は依然二割台、重要犯罪に限っても約五割と低迷を続けております。
 夜警国家という言葉もあるとおり、本来、良好な治安は社会福祉の大前提であるべきです。民主党は、凶悪犯罪の検挙率を現在の五〇%台から八〇%台に回復させることを目標とし、四年間で地方警察官を三万人以上増員し、警察機能を拡充することを提起しています。また、地域社会の防犯機能を生かすため、自治会、町内会などが自主的に結成する防犯パトロール隊などに対し、その立ち上げ費用を支援すべきとの考えです。
 刑罰強化に偏るのではなく、こうした総合的な防犯施策に人もお金も投じることで、初めて犯罪を抑制していくものではないでしょうか。民主党の提案を受け入れるつもりがないか、法務大臣、国家公安委員長に伺います。(拍手)
 以上、犯罪という結果に着目し、監視や事後的救済、再発防止といった観点から、幾つかの問題点を指摘してまいりました。
 最後に強調しておきたいことは、そもそも、人を犯罪に走らせる要因を社会から可能な限り取り除くことこそが最大の治安対策であるということです。根本的な解決のために我々が立ち向かうべきは、我が国をむしばむ不安や諦観、そして社会規範の崩壊などであります。
 地域経済活性化と雇用の回復、教育や社会保障制度の立て直しと再挑戦可能な環境整備に全力で取り組んでまいることはもちろん、まずは、立法家たる我々自身がその規範意識を疑われることのないよう、みずから襟を正し、政治と金の問題にもきっちりと片をつけていくことの重要性を指摘して、私の質問を終わります。(拍手)
    〔国務大臣南野知惠子君登壇〕
国務大臣(南野知惠子君) 松本大輔議員にお答えを申し上げます。
 まず、刑の引き上げによる犯罪抑止の程度についてお尋ねがございました。
 今回の刑の引き上げによる犯罪抑止の効果を数字としてお示しすることは困難ですが、政府全体として治安回復を図るための取り組みを進めることにより、相応の効果を得られるものと期待しています。
 次に、刑の引き上げの基準についてお尋ねがありました。
 今回の改正案においては、近年の犯罪情勢などを踏まえ、犯罪の性質や他の刑法の規定などを考慮して引き上げ幅を決めたものです。
 有期刑の上限の見直しにつきましては、犯罪情勢や国民感情の変化、平均寿命の延びなどを踏まえ、適切な刑を科すことができるようにするために必要な見直しを行うこととしたものです。
 次に、財産犯の罰則の見直しについてお尋ねがありました。
 法制審議会の附帯決議において、強盗罪や窃盗罪などの罰則のあり方については、近年の犯罪情勢などを踏まえ、さらに検討すべきものとされており、法務省としては、これに基づき、今後必要な検討を行っていきたいと考えております。
 次に、強姦罪の法定刑についてお尋ねがありました。
 強姦罪の法定刑は刑法の中では重いものであり、悪質な事件については強盗罪と同じ重い刑に処することもできますので、今回の法改正により、適正な科刑をなし得るものと考えています。
 もっとも、強盗罪などの罰則のあり方については、法制審議会の附帯決議を踏まえ、必要な検討を行っていきたいと考えております。
 次に、法改正によって見込まれる刑務所の被収容者の増加への対応についてのお尋ねがございました。
 今回の法改正により、どの程度収容人員が増加するかを予測することは困難でありますが、今後とも、刑務所の拡充を含めた収容能力の増加と所要の要員の確保に努めてまいりたいと考えております。
 次に、受刑者の出所後の再犯防止等への取り組みについてお尋ねがありました。
 刑期の長い受刑者も含め、矯正教育、職業訓練等のより効果的な実施や、仮釈放者に対する保護観察の一層の充実強化を図ることにより、円滑な社会復帰ができるよう努めてまいりたいと考えております。
 次に、捜査体制の充実についてお尋ねがありました。
 今回の公訴時効期間の延長により、重大な犯罪については起訴できる期間が延びることになり、国民の正義感情にもこたえられるものと考えています。いずれにしましても、御指摘のとおり、迅速な捜査を実施するため、今後も、必要な検察体制の整備を図ってまいりたいと考えております。
 次に、取り調べ過程の録音、録画等についてお尋ねがありました。
 この点については、司法制度改革審議会意見においても、刑事手続における被疑者の取り調べの役割との関係で慎重な配慮が必要であることなどから、将来的な検討課題とされており、慎重な検討が必要であると考えています。
 最後に、総合的な犯罪防止対策についてお尋ねがありました。
 この問題につきましてはさまざまな御意見があると承知しておりますが、私は、今後とも、政府の策定した犯罪に強い社会の実現のための行動計画の実施に一生懸命取り組んでまいります。(拍手)
    〔国務大臣村田吉隆君登壇〕
国務大臣(村田吉隆君) 松本大輔議員の御質問にお答えをいたします。
 窃盗犯の抑止と取り締まりについてでございます。
 窃盗犯は、全刑法犯認知件数の約八割を占めており、その抑止対策は、良好な治安の回復を図る上で極めて重要であると認識をしております。特に、近年、急激に増加しているひったくり、自動車盗などの街頭犯罪や、侵入窃盗を初めとする侵入犯罪は、国民が身近に不安を感じているものであり、これを抑止することは喫緊の課題であると認識をしております。
 そこで、平成十五年一月から、全国警察を挙げて街頭犯罪・侵入犯罪抑止総合対策に取り組んでいるところであります。
 さらに、窃盗犯を抑止するためには、被疑者の検挙、特に連続犯の検挙が重要と認識しており、警察においては、都道府県警察官の合同捜査、共同捜査の推進等を図りまして被疑者の検挙に努めているところでありまして、こうした努力の結果、検挙率の向上が図られるものと考えております。
 次に、捜査体制を充実するなどにより事件の早期解決を図るべきとの御指摘でございます。
 警察におきましては、近年の厳しい治安情勢にかんがみて、組織、人員の効率的運用、優秀な捜査官の養成、育成、科学捜査力の強化、入国管理局、税関、海上保安庁等の国内関係機関との連携強化、外国捜査機関等との情報交換の推進等、捜査体制の整備に努めるとともに、来日外国人犯罪対策、街頭犯罪対策、重要凶悪事件対策等のための地方警察官の増員を図ってきたところでございます。
 最後に、総合的な犯罪防止策を推進する必要があるとの御指摘がございました。
 最近の治安情勢は依然として大変厳しい状況にあると認識しておりまして、警察としては、犯罪対策閣僚会議が策定いたしました犯罪に強い社会の実現のための行動計画等に基づきまして、各種犯罪について、検挙、抑止の両面で諸対策を推進中でございます。
 また、平成十三年度以降、約一万四千人の地方警察官を増員し、さらに約一万人を緊急に増員する必要があることから、平成十七年度は三千五百人の増員を要求したところでございます。
 さらには、交番勤務員の不在が常態化している空き交番についても、平成十九年度当初を目標に解消するべく、鋭意取り組み中でございます。また、本年六月には、犯罪に強い地域社会再生プランを取りまとめまして、関係省庁と連携しつつ、自主防犯運動への支援を推進中でございます。
 国家公安委員会といたしましても、以上申し上げたような取り組みが引き続き的確に推進されるよう、警察当局を督励してまいりたいと考えております。(拍手)
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議長(河野洋平君) 江田康幸君。
    〔江田康幸君登壇〕
江田康幸君 公明党の江田康幸でございます。
 私は、自由民主党及び公明党を代表して、ただいま議題となりました裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律案について、法務大臣に質問をさせていただきます。(拍手)
 まず冒頭、イラクで犠牲に遭われた香田証生さん並びに御遺族の皆様に心よりお悔やみを申し上げますとともに、今般の中越地震、たび重なる台風等で被害を受けられた国民の皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
 さて、今、私たちは、二十一世紀の我が国を支え、国民に身近で頼りがいのある司法の実現を目指して、百年に一度と言われる司法制度改革に取り組んでおります。本日議題となりましたいわゆるADR法案は、司法制度改革の三本の柱の一つである、国民の期待にこたえる司法制度の構築のために重要な法案であると認識をしております。
 日本の司法は、長い間、二割司法、すなわち、民事紛争を司法手続によって解決することのできる国民は二割しかいないという不名誉に甘んじてまいりました。
 公明党は、これまで、泣き寝入りをしなくともよい社会の実現に向けて、無料法律相談の実施や民事法律扶助制度の導入、拡充等に全力で取り組んでまいりました。本法案は、我が党のこれまでの取り組みと軌を一にした法律であり、国民の司法アクセスの拡充のためにぜひとも成立をさせなければならないものと考えております。
 それでは、以下、具体的な質問をさせていただきます。
 ADRは、裁判以外の紛争解決手段の総称であり、その利点としては、利用者の自主性を生かした解決、非公開での解決、簡易迅速な解決、実情に沿った解決など、柔軟な対応が可能であることが挙げられます。しかし、現状は、ADRの存在や意義についての国民の認識や理解が不十分で、十分に活用されていないというのが現実であります。
 既存のADRが十分に活用されていない理由についてどのように認識されているか、お伺いをいたします。また、それらの点について、本法律案ではどのような改善策が講じられているのか、あわせてお伺いをいたします。
 次に、国や地方公共団体の責務についてお伺いをいたします。
 国民が紛争を抱えた場合に、紛争の性質や内容に応じて、多様な紛争解決手続の中からふさわしい手続を選択することを容易にするということは、国民が紛争解決の局面でもその主体性を発揮し、みずから権利利益の保護を図ることを可能にするものとして、非常に有意義であると考えます。
 しかしながら、国民が紛争を解決するのにふさわしい手続を選択することができるようにするためには、その大前提として、国民がADRの意義や機能について十分理解することや、手続に関する具体的な情報が提供されることが必要になると考えます。
 法第四条は、国や地方公共団体の責務として、国民の理解の増進や情報の提供等、必要な措置を講ずるように規定しておりますが、国及び地方公共団体が具体的にどのような措置をとることになるのか、お伺いをいたします。
 認証制度の導入についてお尋ねいたします。
 ADRに時効中断等の一定の法的効果を付与する以上、その公正・的確性を確保するために認証制度を設けることに、私は賛成をいたします。しかし、検討会では、認証制度の導入について大きな議論があったと伺っております。反対の論旨及び導入に踏み切った理由についてお尋ねいたします。
 さらに、認証の基準についてお尋ねいたします。
 法第六条第四号の中に、「申請者の実質的支配者等」として、「申請者の株式の所有、申請者に対する融資その他の事由を通じて申請者の事業を実質的に支配し、又はその事業に重要な影響を与える関係にあるものとして法務省令で定める者をいう。」と規定されておりますが、具体的に説明をしていただきたいと思います。
 また、同号中、「申請者の子会社等」として、「申請者が株式の所有その他の事由を通じてその事業を実質的に支配する関係にあるものとして法務省令で定める者をいう。」と規定されておりますが、どのような場合を想定されておられるのか、あわせて説明を求めます。
 同条第五号は、手続実施者が弁護士でない場合には、「弁護士の助言を受けることができるようにするための措置を定めていること。」としております。「弁護士の助言を受けることができるようにするための措置」とは、どの程度の措置を要求されているのか、不明であります。ADRの業務を行う事務所に弁護士が常駐していることが求められるのか。あるいは、ADR事業者と弁護士の助言に関する顧問契約の存在といった程度でよいのか、答弁を求めます。
 法第十条第一項は、「認証審査参与員若干人を置く。」としていますが、何名程度を予定されているのか。また、法務大臣は、認証の申請に際しては「認証審査参与員の意見を聴かなければならない。」とされています。全国の認証申請者に対して、この程度の人数で実効性のある効果が果たして期待できるものか否か、お尋ねいたします。
 認証紛争解決手続を利用した場合には、時効中断、訴訟手続の中止、調停前置の特則といった法的効果が付与されることになりました。
 しかし、合意の効果に執行力を付与するか否かについては、検討会でも大きな議論になり、今回は見送られたと聞いております。せっかく合意が成立したにもかかわらず、その合意に執行力が付与されなければ、実効性に欠けるという考え方がございます。執行力の付与を見送った理由をお伺いいたします。
 法第二十八条は、認証紛争解決事業者は「報酬を受けることができる。」と規定し、弁護士法第七十二条の例外を定めたものとされています。それでは、認証を受けていない事業者が報酬を受けた場合は、この弁護士法第七十二条の違反になるのか否か、お尋ねいたします。
 最後に、国民にとって身近な司法を実現する上で、裁判の充実を図るとともに、裁判外紛争解決手続の拡充・活性化を図ることが必要であります。今回の裁判外紛争解決手続、すなわちADRの拡充・活性化を図る施策に関しまして、その司法制度改革における位置づけについて御認識をお伺いいたします。
 以上、法務大臣にお尋ねし、私の質問とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
    〔国務大臣南野知惠子君登壇〕
国務大臣(南野知惠子君) 江田康幸議員にお答え申し上げます。
 まず、ADRが活用されていない理由及び改善策についてお尋ねがございました。
 その理由といたしましては、国民の理解が十分でないこと、情報が十分でなく、また利便性が乏しいことなどが考えられます。
 このため、本法律案におきましては、基本理念等を定め、国民の理解の増進を図るとともに、認証制度を設け、選択の目安の提供と法的効果の付与等による利便性の向上を図っております。
 次に、国等が講ずる措置についてお尋ねがありました。
 国につきましては、ADRについて、内外の制度や利用状況の調査及び分析、また、その情報の国民への提供、教育や広報の充実などが挙げられます。また、地方公共団体については、地域内で行われるADRに関する情報の住民への提供などが挙げられます。
 次に、認証制度導入に反対する意見の論旨と、これを導入した理由についてお尋ねがありました。
 認証制度につきましては、民間のADRの選別、国の過度な関与につながらないかといった懸念もありました。本法律案においては、こうした懸念も踏まえ、認証は任意の申請に基づくものとするとともに、事業者の自主性、多様性に十分配慮した認証の基準とするなどの措置を講じております。
 次に、法案第六条第四号の具体的内容についてのお尋ねがありました。
 本規定は、認証の基準の一つとして、申請者の親会社や子会社のように、申請者の業務に強い支配力や影響力を及ぼす関係にある者や申請者がこれらの力を及ぼす関係にある者が当事者となる紛争を取り扱う場合には、手続実施者に対して不当な影響を及ぼすことのないような措置を求めるものであります。法務省令におきましては、株式の所有割合や資金調達額に占める融資割合等の基準を定めることを予定いたしております。
 次に、弁護士の助言に関する措置についてのお尋ねがありました。
 この措置に関しましては、弁護士が常駐したり、顧問契約を締結するといったことは必ずしも必要ではありませんが、特定の弁護士が具体的事案に対して的確に助言をすることができるような措置が必要であると考えております。
 次に、認証審査参与員の具体的運用についてのお尋ねがありました。
 認証審査参与員につきましては、民間ADRの経験が豊富で、専門的知識を有する法律家や実務家等の中から、十数名程度の範囲内で任命することを予定しております。また、実際の運用では、法務大臣の専門性を補完し、認証の客観性、透明性を確保するという制度の趣旨が生かされるよう、十分にその活用を図ってまいりたいと考えております。
 次に、執行力の付与を見送った理由についてのお尋ねがございました。
 この点につきましては、手続のより一層の実効性を確保するという意義はあるものの、幅広い方面から、弊害が発生するおそれが十分に払拭されていない、あるいは紛争解決事業者の中での差別化につながるといった強い懸念が寄せられました。そこで、将来の課題とし、現時点での導入は見送ることとしたものであります。
 次に、認証制度と弁護士法第七十二条の関係についてのお尋ねがありました。
 弁護士法第七十二条は、原則として、弁護士でない者が報酬を得る目的で紛争解決手続の業務を行うことを禁止しております。他方、一般論ではございますが、業務の方法や組織等に照らして正当業務として違法とはならない場合もあるとされております。
 したがいまして、認証を受けていないことをもって直ちに弁護士法第七十二条に違反するとまでは言い切れないものと承知しております。
 最後に、ADRの拡充・活性化の位置づけについてのお尋ねがありました。
 司法制度改革の柱の一つは、国民の期待にこたえる、より利用しやすい司法を実現していくことにあり、そのためには、司法の中核である裁判機能の充実に加えまして、ADRにつきましてもその機能の充実を図る必要があります。これによりまして、国民が紛争の解決を図るのにふさわしい手段を選択しやすい社会になるものと考えております。(拍手)
議長(河野洋平君) これにて質疑は終了いたしました。
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