第4号 平成16年11月10日(水曜日)


斉藤委員長 松本大輔君。
松本(大)委員 民主党の松本大輔です。
 今回の質疑を迎えるに当たりまして、大臣のホームページを拝見させていただきました。やはり国家の発展の礎は人材であるというお言葉は、私もまさに同感であります。それから、目指すべき社会として、「豊かで安心して暮らせる社会」というものを挙げていらっしゃいます。さらに、八月二日の大臣御自身の与党代表質問を掲載されておりまして、その締めくくりでは、「国民に十分説明し、理解を得る努力を尽くしてください。」ともおっしゃっています。
 私は、これはいずれも、本日のテーマであります原子力行政に深くかかわるお言葉ではないかなというふうに思いますので、本日の質疑は、その点を踏まえて御質問をさせていただきたいなというふうに思います。
 それで、朝から審議されておりますように、今回の新機構は、特殊法人改革の一環として、原研とサイクル機構を統合するというものなんですけれども、早速ですが、大臣は、今回統合対象となっている二つの法人の研究施設をごらんになられたことはおありでしょうか。

中山国務大臣 まだ行っておりません。

松本(大)委員 ありがとうございます。
 今回の法案審議に当たりまして、まずは現場へということで、先日、東海村へ行ってまいりました。わずか一日という限られた時間ではあったんですけれども、私にとって大変印象的だったのは、現場で働く方々の気概であります。予算がどんどん削減されていっているにもかかわらず、核融合研究においては世界のトップを走り続けている、あるいは加速器研究においてはアメリカとしのぎを削っている、さらには、五十年後を見据えて、放射性廃棄物の処理技術というものも開発をしていると、例を挙げれば切りはないわけなんですけれども、私は、現場の皆さんの気概というものに大きな感銘を受けて戻ってまいりました。
 それに引きかえと申し上げてはなんなんですけれども、朝から審議を聞いておるんですけれども、どうも行政側には現場ほどの気概が見受けられないというのが大変残念でなりません。たとえ我々とは立場や意見が異なっても、大臣にはぜひそういったものをお示しいただけることを期待しつつ、質問を続けたいなというふうに思います。
 現場の気概というお話を今させていただいたんですけれども、一方で私が感じたのは、ちょっと若い人が少ないんではないかなということであります。もちろんベテランの方が悪いというわけではないんですけれども、そのベテランの方が築いてきた経験というものを受け継ぐ若者がいなければ、組織としては持続可能性に欠けるということになるのではないかと思います。
 平成九年から十六年までで約七百人の人員削減が行われております。それから、今回の新機構なんですけれども、スリム化ということで、今後も人員削減を予定されるというふうに伺っております。
 そこで、小島副大臣にお伺いしたいんですが、今回の統合で予定されている人員削減の内容について、お答えをお願いします。

小島副大臣 お答えいたします。
 答弁に先立ちまして、現場まで行って御視察されたということで、本当に御苦労さまでございます。
 私も大臣も視察をしようかということで話し合ったんですが、大臣の方は三位一体の関係等であけられなくて、私が個人的に現地を視察してまいりましたことを御報告申し上げます。
 いわゆる削減計画ですけれども、具体的に申し上げますと、監事を除いた役員数を二十一人から九人と半分以下にするとともに、職員数については、平成十六年度末の四千四百四十五人から、第一期の中期目標の期間と想定される五年間で最低でも一〇%削減し、四千人を下回ることを目指すなど、先ほどお話にありましたように、スリム化に努めているところであります。
 なお、特殊法人等改革基本法にかかわる衆参両院の附帯決議及び特殊法人等整理合理化計画では、職員の雇用の安定に配慮すべきとされているところでありまして、文部科学省としても、これを踏まえて適切に対応してまいりたいと思っています。
 以上でございます。

松本(大)委員 ありがとうございます。
 今後五年間で一〇%、四千人を下回るということは、およそ五百人程度削減されるということなんですけれども、これまでの平成九年から十六年までと、それからこの先の五年間の五百人の減少、これまでとこれからの減少というのをどういった形で進められるのかについてお答えをお願いします。

坂田政府参考人 職員の削減につきましては、退職年齢に達した職員による減でございますけれども、これを基本としてやりたいと思っております。
 もちろん、先生先ほどおっしゃいましたとおり、若い方々が新たに入ってきていただくということも、当然その組織の活力を維持発展していくという意味で大変大事でございますので、その点についても配慮はしなければいけませんが、基本的には自然減ということをベースに全体の人員の削減に努力したいと考えております。

松本(大)委員 自然減ということは、新規の採用の抑制という理解でよろしいでしょうか。

坂田政府参考人 基本的にそうでございます。退職される方と同じ数を採用していれば減りませんので、そういうことになろうかと思います。

松本(大)委員 新規の採用が抑制されるということは、ますますといいますか、組織の高齢化が進むということになろうかと思います。
 十年以上にもわたって削減し続けていくということになれば、それは組織の運営上というか人事政策上、非常に大きなインパクトを持ってくるのではないかと思うんですけれども、この人員削減が新機構の数十年後に与える影響についてどういうふうに評価されているのかをお聞かせください。

坂田政府参考人 先生も御見学されてお気づきになったようでございますけれども、両法人とも大変古いといいますか、歴史的な機関でございますので、四十代、五十代の方々が実は多いわけでございます。二十代、三十代の方が相対的には四十代、五十代よりは少ないということでございます。もちろん、五十代の方々を中心に退職をしていかれるわけでございますけれども、そこで減った数よりはもちろん少ない数の若い方々を採用いたします。
 全体としては確かに人員は減ってまいりますけれども、両法人の中で、あるいは新機構の中で、まさに人から人への技術継承をしっかりやりまして、人数は減っても若い方々の活力で、組織全体としては非常に前向きな仕事ができるような形に持っていきたい。
 今お尋ねは、数十年後というぐあいにおっしゃいましたが、私ども、向こう十年程度を見て、当面まず第一期の五年間ぐらいを考えておりまして、その辺の時間的な視野の中では、私どもが今考えている範囲でこれから重点化していく業務、例えば高速増殖炉の問題、あるいは先ほども申しましたけれども、大強度陽子加速器の問題、あるいは核融合研究の問題、そういう重点化する業務についてはしっかり取り組んでいくことができるのではないかというぐあいに思っております。

松本(大)委員 継承者が絶対的に減っていく中で、それをどうやって活力でカバーしていくのかということについては、私はちょっと今の答弁では納得しかねるわけなんです。
 新機構の業務内容を定めた法案の第十七条一項六号に「原子力に関する研究者及び技術者を養成し、及びその資質の向上を図ること。」ということが記されているわけなんですけれども、それを支える人材は一朝一夕にはつくられるものではないということは申し上げるまでもありません。
 私が実際に見に行ったときに、再処理工程においてこういういわゆるマニピュレーターというのを操作されていらっしゃったんですけれども、それを操る技術というものはいわゆる職人わざだそうでございまして、だれか一人欠けてもすぐにかわりを補充できるわけではないというふうに伺いました。
 五年間で五百人という数字を机上ではじき出してしまって、果たしていいのかなというのが私の率直な思いであります。長期的な視点に立って、今後の業務内容も勘案した上で数字を出していかなきゃいけないんじゃないか。効率一辺倒、財務リストラ一辺倒の理念なき数値目標というものでは、結果的に国民が不幸になるだけではないかな、私はそのように思うわけであります。本委員会は、特に文部科学委員会でありますので、日本の人づくりに責任を持って議論をしていかなければなりません。
 そこで、もう少し原子力における人材養成についての御質問をさせていただきたいと思うんですけれども、午前中の議論にもありましたとおり、何よりも重要とされておりますその安全確保なんですけれども、それを実質的に担保するのはやはり人材であります。そのためにも、人材の確保は欠かせないということになろうかと思います。
 しかし、その人材を社会に送り出している大学がどうかといいますと、午前中の御答弁にもありました、原子力というものを冠した学科が減りつつあると。私は、国立大学の法人化や少子化の影響を受けて、予算のかかる原子力の研究分野にしわ寄せが行っているというような話もお伺いしているわけであります。
 これは学界だけではありません。産業界においてはどうか。原発は現在日本国内に五十二基を数えているわけなんですけれども、御承知のとおり、建設のペースは落ち込んでいるわけでありまして、長寿命化というのが今の流れであろうと思います。
 原産会議の報告書なんかを見てみますと、電力会社以外の民間企業の原子力関係の技術者数というものを見ますと、この十年、約二万九千人というところでほぼ横ばいではあるんですが、ただ、その内訳を見てみますと、将来の技術開発に携わる研究者の数は、同じ期間、十年間で三千五十九人から千三百十二人、半分以下に減少しているわけでございます。
 先ほども述べましたように、人材の供給源である大学の方でも原子力工学の人気が下がっている。人材の供給源も先細りしようとしている。一方で、その人材の民間の受け入れ先、人材の受け入れ先も同じように先細りしようとしている。
 これに追い打ちをかけるのが今回の法案であります。新機構において人員削減が行われるということであれば、いわばこの負のサイクルを加速するということにもなりかねないと思うわけなんですけれども、こうした言ってみれば負のサイクルを加速しておきながら、一方で人材養成というものを新機構が業務として掲げているのは、私は大いな矛盾ではないかなというふうに考えるんですが、御答弁をお願いします。

中山国務大臣 非常に難しい問題でございまして、せっかく統合するわけですから、その統合のメリットというのは何かというと、やはりそれは合理化だろうと思うので、合理化努力というのは、これは絶対続けてもらわなければいかぬと思うわけでございますけれども、一方で人材の養成ということも、確かに委員おっしゃるとおり大事なことでございます。
 大学での供給源が減っている、一方では受け入れる方も減っているということになりますと、本当に大事な原子力の開発利用という日本の至上命題が崩れていくわけですから、このところはしっかりと守っていかなければいかぬ、こう思っているわけでございます。
 今度の法案におきましても、原子力に関する研究者及び技術者の養成、及びその資質の向上を業務として明確に位置づけているわけでございまして、そういう意味で、大学、それから産業界、そしてこの法人一体となって、原子力関係の技術者の養成ということについても努力していかなきゃいけない、このように考えております。

坂田政府参考人 私の方で少しだけ補足させていただきたいのは、大学における原子力という名前の学科の数が確かに減ってきております。それは一つございます。それと並行するかのようにと言っていいかと思うんですけれども、大学における研究炉、実験炉のようなものです、こういうのも閉鎖が続いておりまして、現実に大学において、いわゆる放射能、現実に目の前に放射能がある施設で原子力の研究の経験が積めるという機会もこれまた減ってきております。
 しかしながら、今回新たにできます新機構は、大変多くのいろいろな、研究炉でありますとか、あるいは研究炉でなくても核燃料関係のいろいろな研究施設ですとか、そういうものがたくさんございます。やはり、そういう現に核燃料物質を扱える施設で大学の学生さんあるいは大学院の学生さんたちが学んでいただく、あるいは研究していただくことが人材養成上非常に重要でございます。
 そういう観点から、新機構においては、この原子力の研究者、技術者の養成ということをしっかり業務に位置づけることが大変今の環境の中では大事なことではないかというぐあいに考えております。

松本(大)委員 大臣、国家発展の礎は人材であるというお考えは原子力分野についても同様であるという理解をしてよろしいでしょうか。

中山国務大臣 まさに人材の育成ということは、どの業界、どの分野においてもそうだと思うわけでございます。特に新しい分野、これから研究開発を促進していかなければならない分野というのは若い人材の育成が何より必要である、このように認識しております。

松本(大)委員 大臣からはこの質疑の中で、文部省と科学技術庁の統合は非常にうまくいっているというお話がございましたので、ぜひ、原研とサイクル機構の統合効果を論ずる前に、まずは人材育成の分野で文部省と科技庁のシナジー効果というものをぜひ見せていただきたいと思います。
 先ほどの局長の御答弁は、午前中の質疑の中では大学の人材育成にてこ入れをという御質問があったわけですけれども、今の御答弁というのは、産官学すべてにまたがる人材育成にこれから取り組んでいくという決意と受け取ってもいいんでしょうか。

坂田政府参考人 まさに先生御指摘のとおり、日本の産官学それぞれのセクターで、原子力に携わっている方々がたくさんいらっしゃいます。あるいは事業体、組織がたくさんいらっしゃいます。そういったセクターあるいは人々のために、この新しい機構は人を養成していくという面でしっかり貢献すべきであるというぐあいに考えております。

松本(大)委員 大臣、先ほど、至上命題として守っていかねばならないという非常に力強い御答弁をいただきました。まさに大臣がおっしゃっているように、国家の発展の礎は人材でありますので、原子力分野の人づくりをおろそかにすることで結果的に原子力の安全を脅かすことにつながらないように、ぜひとも至上命題として取り組んでいただきたい、このように思います。
 さて、研究現場を見た感想について、ちょっと三点目として指摘させていただきたいんですけれども、少し気になったこととしては、原子力という、狭いと言ってよいのかどうかわかりませんが、狭い世界に引きこもっているというような印象をちょっと、閉じた感じを私は受けました。冒頭にお話しした気概というものと裏表の関係なのかもしれませんが、ただ、自己中心的な気概というものは独善につながっていくわけであります。独善に陥らないようにするためには、外に目を向ける、積極的に情報発信をしていくということが大変重要ではないかなというふうに思います。
 今回の法案の四条でも、成果の普及ということが掲げられております。現行のサイクル機構法の一条に由来するものではないかなというふうに思いますけれども、果たして税金を費やして行ってきた研究成果が本当に活用されているのかという点について、ちょっと御質問をさせていただきたいなというふうに思います。
 成果の活用度合いをはかるバロメーターとして特許等が挙げられると思うんですけれども、平成十五年末における特許などの保有件数は、原研で五百六十六件、サイクル機構で千二百十件、その実施率は原研で七・一%、サイクル機構で〇・三%、非常に低調と言ってもいいのではないかというふうに思います。
 成果の普及というものがこれまで十分になされてきたのか、大変疑問に思うわけなんですけれども、目標に掲げられておきながら、研究成果の普及という意識にちょっと乏しいんではないでしょうか。あるいは、今回の新機構の設立、改革によって、これが改善されるというような保証はあるんでしょうか。

小島副大臣 お答えいたします。
 今松本委員御指摘のように、確かに、特許権等の実施率が低迷しているということも事実でございます。
 日本原子力研究所は、特に放射線研究分野においていろいろと事業を行っているわけでありますけれども、民間企業への技術移転も実施はしておりますけれども、なかなか高くないということでありまして、あともう片方のサイクル機構は、ウラン濃縮技術等に関する研究開発成果を日本原燃株式会社などの事業者へ技術移転することにより、我が国の核燃料サイクル事業の推進に寄与しているわけであります。
 委員御指摘のように、原子力に関する研究開発成果の活用が可能な事業というか利用する事業というのが非常に限られているということでありまして、両法人の特許実施率については実際高くないため、今統合したらばという話がありましたけれども、今後、この技術移転に向けてさらに民間に働きかけていって、いわゆる実施率を上げていきたいというふうに考えております。

松本(大)委員 実施率以外の、何かほかの数値目標がもしあれば、それもあわせてお聞かせください。

坂田政府参考人 今の先生のお尋ねに関連してでございますけれども、確かに今、特許の実施率は低うございますので、これからはもっと、従来の原子力に直接関係する事業者の方々に限定せずに、もっと幅広くいろいろな業種の方々との交流をして、その結果として特許の実施というものを広げていく、こういう努力をしなければいけないというぐあいに思っております。
 これまではどうしても原子力のコミュニティーの範囲で考えてきたということもあり、特許の実施率は必ずしも高くなかったということであります。むしろ原子力のコミュニティーの中で考えますと、特許を移転するというよりも現実に成果を、必ずしも特許になっていない形、成果を移転していく、あるいは経験を移転していく、ノウハウを移転していく、人を移転していく、こういったことが原子力研究所あるいは核燃料サイクル開発機構の成果の活用という観点からの主たる仕事でございました。そういうやり方をしておりました。その限りにおいては、両法人は相当の成果を日本の原子力研究開発のコミュニティーに還元したというぐあいに考えております。
 そこで、先生のお尋ねでございますけれども、特許以外にどういうものがあるか。これは私どもとして新しい課題でございまして、新機構発足を契機に、まさに御指摘のような点をどのような形で例えば中期目標の中に掲げていくのか。一つの考え方としては、両法人とも全国に相当の数の事業所、研究所を持っております。そういった地域におきまして、地域の産官学との間でどのような交流ができるか、どのような技術移転ができるか、どのような事業化に貢献できるか、こういった点も、新機構発足後においては新しい活動の目標として考える必要があるんじゃないか、今後の大事な検討事項であると考えております。

松本(大)委員 なぜ私が指標等にこだわるかというと、それはわかりやすいからであります。
 例えば成果の普及というもの、この場合は成果の普及ですけれども、例えば政治家の公約で、生き生きした町づくりとか安心した町づくりというものを掲げても、後になって、どれぐらい生き生きしたかとかどれぐらい安心できたかというのは検証が難しいわけです。それがマニフェストというものが評価された一因ではないかというふうに思います、期限を区切って何をどのようにどのぐらい実現するのかということが後で検証可能になると。
 ぜひともこの成果の普及については何らかの数値目標というものを検討していただきたいなと。特に、国際的なセンター・オブ・エクセレンスなどという言葉が二法人の統合準備会議で掲げられておりますので、ぜひ、かけ声だけでなく、検証可能な目標というものをはっきりと定めていただきたいなというふうに思います。
 これまでの質問で私が申し上げたかったことは何かといいますと、ほかの委員もこれまで指摘してまいりましたけれども、一体いつから財政論とか効率の観点からのみ原子力が論じられるようになってしまったのかというちょっと寂しい思いがしているからであります。すなわち、今回の法人統合については理念といったものが私には少なくとも感じられないということです。逆に言えば、先ほども申し上げたように、財政論だけで語られるようになってしまった原因はどこにあるのかなということです。
 私が考えますに、その理由は、事業の価値について国民の理解が十分に得られていないから、負担に対する納得感がないからではないかというふうに考えております。冒頭にも申し述べましたとおり、大臣御自身が与党の代表質問でもおっしゃっていらっしゃいましたけれども、国民に十分説明し、理解を得る努力を尽くす必要があるというのは、まさにこの原子力行政の分野についても同様であるというふうに考えております。後半は、そういった観点から、その説明責任を十分果たしてきたのかということについてちょっと検証をさせていただきたいなというふうに思います。
 まず取り上げたいのは、動燃改革であります。
 なぜ動燃改革をまず取り上げたいかということなんですけれども、事業についての国民の理解の大前提になるのは、何といっても信頼であります。なぜならば、そもそも信頼がなければ、国民に十分説明し、理解しようと思っても、聞く耳すら持ってもらえないからです。その点で、「もんじゅ」のナトリウム漏れ事故であるとか、アスファルト固化処理施設の火災爆発事故、これは周辺の環境には影響はほとんどなかったというような議論もあるのかもしれませんが、しかし、ビデオ隠しを初めとした事故後の不適切な対応というものが、原子力行政に対する信頼感を大きく損ねたということは紛れもない事実であります。
 その意味で、まずもって国民に十分説明し、理解を得る努力を尽くすという点では、この動燃改革を検証させていただきたいと思うわけなんです。
 ちなみに、検討委員会というのは、経営の不在、安全確保と危機管理の不備、閉鎖性、事業の肥大化などを指摘してまいりました。六年たった今、この動燃改革の目的というものは達せられたのでしょうか。

中山国務大臣 思い出しますけれども、動燃改革というのは、これは国民の信頼を回復するという必要性から始まったというふうに記憶しておりますけれども、平成十年に動燃を核燃料サイクル開発機構に改組した後は、新型転換炉開発、ウラン濃縮、海外ウラン探鉱等から撤退しまして、高速増殖炉開発等への業務の重点化、第三者から成る運営審議会の設置、積極的な情報公開、地元重視の観点から本社機能を移転する等の対応が行われてまいりました。また、重点化された業務の遂行に当たりましても、外部評価の導入や効率化の推進等の改善に鋭意努力が重ねられてきたものと理解しております。
 したがいまして、本年七月にサイクル機構が依頼した第三者による機関評価におきましても、動燃改革当時に指摘された経営的課題に対して改善が進んでおり、総合して、この五カ年の業務運営は評価できるとされておりまして、動燃改革の目的に向けたサイクル機構の努力が外部有識者に認められたものと考えております。

松本(大)委員 残念ながら、私の考えはちょっと大臣とは違うものでありまして、やはり経営の不在という問題はいまだに解決されていないのではないかなというふうに感じております。
 核燃料サイクル開発機構、サイクル機構の機関評価委員会の報告書の最後のページにも、「恒常的にミッションを再設定・再定義していくことが必要である。」という形で、継続的な業務改善活動というものをしっかりやっていきなさいよということで締めくくられているわけであります。
 私は民間企業出身でありますので、民間企業で普通戦略を立てるとき、経営計画を立てるときというのは、よく経営の世界で言われるような、PDCAというサイクルをたどるわけであります。
 プラン、計画を立てて、ドゥー、実行して、チェックをする、評価、検証して、最後はアクト、改善、反映するというサイクルなんですけれども、サイクル機構のこの中長期事業計画を見てみても、まずそのプランの段階からつまずいているのではないかなという感じを私はどうしてもぬぐい去ることができません。
 高速増殖炉サイクル、それから高レベル放射性廃棄物の処理処分技術、軽水炉処理技術というそれぞれのプロジェクトについて、今どのような技術的な課題が存在していて、いつまでにそれを解決するのかということが明確になっておりません。何となくこのあたりまでに達成するというものであって、いつまでに何をするかというのがはっきり伝わってこないわけであります。
 それから、何よりも致命的なのが、コストについて全く言及がないということであります。こうしたプランでは、民間の世界の常識からいうと、とてもではないけれども、経営計画の名に値しないのではないかなというふうに私は考えるわけであります。
 今回の法案で、新機構ができる、中長期計画が策定されるということになっているわけですけれども、今後も経営計画の名に値しないような事業計画がつくられるのであれば、先ほど申し上げたような国民の理解を得るということは到底不可能ではないかなというふうに考えます。
 そこで、新法人の中期計画の策定においては、プロジェクトごとに達成目標、それと達成時期、それから所要資金というものを設定したロードマップというものを策定すべきだと考えますが、御答弁をお願いします。

小島副大臣 お答えいたします。
 松本委員の御指摘のとおりと私も思います。
 独立行政法人制度には、主務大臣が策定する中期目標において独立行政法人の事業について達成目標と達成時期等を設定し、これを踏まえて、独立行政法人において資金計画を記載した中期計画を作成することとしているところであります。
 御指摘の趣旨は、新機構の中期目標の作成及び中期計画の認可の際に定められる事業についての達成目標と達成時期等が実現できるよう、御指摘のとおり、努力していきたいと思っています。

松本(大)委員 先ほどというか午前中の議論でも、長計をマニフェストに見立てた御質問というものがありましたけれども、マニフェストのマニフェストたるゆえんというのは、先ほども申し上げたように、期限を区切って目標を明示して、どの程度実行するかということを打ち立てて、後で検証可能にする、しかも継続的な検証可能にするという点にその特徴があるというふうに考えておりますので、ぜひ、この中期計画の策定においては、非常に、より具体化した形で経営計画の策定というものを進めていただきたいなというふうに要望をいたします。
 次に、先ほど申し上げたPDCAのCの部分ですね、チェック、評価であり、検証の部分にちょっとお話を進めたいと思います。
 先ほどもちらっと触れましたが、原研もサイクル機構も、それぞれ直近ではことしの十月と八月に評価報告書というものを出していらっしゃいます。報告書の内容はページ数で決まるものじゃないと思うんですけれども、通常、お役所の方からいただく報告書はどっさりとうんざりするほどあるのに対して、これはいかにも薄いなというふうな印象を持たざるを得ません。
 そして、その中身についてなんですけれども、高く評価する、適切である、進展が認められる、非常に耳に心地いいというか優しい言葉が多く盛り込まれておりまして、これではお手盛り評価と言われても仕方がないのではないかなというふうに考えます。統合を前にしたアリバイづくりじゃないかというふうな非難を、そしりを免れないのではないかと私は考えるわけなんですが、監督官庁としてこの評価報告書をどのように受けとめていらっしゃるのか、評価推進部局はこの報告書の内容をチェックされているのかどうか、答弁をお願いします。

小島副大臣 お答えいたします。
 日本原子力研究所及び核燃料サイクル開発機構が実施している機関評価については、文部科学省における研究及び開発に対する評価指針に基づき、研究機関である法人みずからが外部の者を評価者として選任して評価をしてもらっているということは、委員も御指摘のとおりであります。
 なお、両法人が行った機関評価結果については、文部科学省の原子力分野の研究開発に関する委員会において報告が行われることになっており、文部科学省としても、その際の論議等を法人監督における参考としているところでございます。

松本(大)委員 そのお手盛りの評価の甘さをどう是正していくのかということについては、今の御答弁では少し納得ができないんですけれども。
 何を言いたいかというと、独法化されるとそれだけ自主性や自律性が重んじられるようになるので、それをいいことに、お手盛り評価というものが加速するのではないかなという懸念を私は持っているということでございます。ぜひ、新法人になった暁には、あえて厳しい意見を積極的に求めるぐらいの自律性を期待したいところですが、ちょっと今の答弁では期待できないかなという感じを強く受けた次第です。
 今、PとCの部分についてお話をしたんですが、最後は、A、アクト、改善の部分であります。
 総合科学技術会議というものが、政府予算の概算要求に際して、科学技術関連施策の優先順位づけをS、A、B、Cという四段階で行っております。昨年十月に行われた優先順位づけにおいては、積極的に推進すべきSとしてITERや「もんじゅ」が位置づけられている一方、ほとんどが原研とサイクル機構で実施されている原子力分野十四項目のうち半分以上の八項目がBやCである、問題点の解決や見直しが必要であるという指摘を受けているわけであります。
 私ども民主党も、日本経団連さんが行っている政策評価においてエネルギー政策でDをいただきましたので、身につまされる思いがしなくはないわけでございますけれども、大臣にお伺いしたいのは、この総合科学技術会議の評価を受けて、何らかの改善や見直しというものをこの一年間かけて行ってきたのでしょうか。

中山国務大臣 お答えいたします。
 総合科学技術会議において、平成十六年度概算要求における原子力二法人の事業に対する評価として優先順位B、Cとされた項目は、高速実験炉「常陽」、安全性研究など六事業であります。
 上記の項目につきましては、評価結果を受けて、例えば「常陽」については、FBRサイクル実用化戦略調査研究と緊密な連携を図り、効率的、効果的に実験を実施するなどの見直しをしました。安全性の研究につきましては、内閣府原子力安全委員会等関係省庁との連携を強化し、審査に活用されるために必要な研究項目の調査を実施するなどの見直しをしたことによりまして、事業の効率化を図り、所要の成果が得られているところでございます。
 今後とも、評価結果、指摘事項を踏まえ、適切に事業の見直しを行いつつ、着実に研究開発を進めてまいりたいと考えております。

松本(大)委員 所要の成果が得られているというような御答弁でありましたけれども、実はこの優先順位づけというものは毎年行われておりまして、ことしも、先月二十一日に開催された総合科学技術会議において決定をされております。大臣も御出席されていると思いますので御記憶かと思うんですが、昨年の評価に比べてことしの評価がどの程度アップしたか、御答弁をお願いします。

坂田政府参考人 昨年同様、ITERあるいは「もんじゅ」等についてはSでございますけれども、昨年B、Cをいただいたものについては、昨年よりよくなったということでは必ずしもございません。

松本(大)委員 必ずしもないというのは非常に微妙な表現ですが、もっと直接的に申し上げますと、評価がアップしたものは、BからAになったものはたった一つだけでありまして、BやCのままで変わっていないものが五つ、逆にダウンしたものが三つもあるわけであります。
 所要の成果が得られた、改善しているという御答弁だったわけですけれども、実際の結果から見れば、一年間の評価を比べてみれば、そうなっていないということが事実なのではないかなというふうに思います。
 評価結果の反映について、もっと真剣に取り組む必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

中山国務大臣 御指摘のとおり、総合科学技術会議の評価や予算査定におきまして、幾つかの事業につきまして厳しい評価を受けていることは事実でございます。
 一方でまた、統合準備会議等におきましては、両法人及び新機構に対し大きな期待も示されているということでございまして、今後、それぞれの評価結果の意味を十分に踏まえて、厳しい財政事情の中で、事業の選択と限られた資源の集中投入、そして業務運営の効率化によりまして、研究開発、人材、予算等の研究資源の効率的な活用を実現しつつ、社会が求めるすぐれた研究成果が効果的に生み出されるように、文部科学省としても適切に対処していかなければいかぬと考えております。

松本(大)委員 大きな期待が寄せられているというのは大変結構なことなんですが、私は、この質疑のための調べ物の段階で、実にさまざまな評価が行われているものだなというふうに感嘆をいたしました。
 まずは、先ほどの機関評価委員会の報告書です。それから、先ほど申し述べました総合科学技術会議のS、A、B、Cの優先順位づけがある。さらに、今回の統合に当たっては、原子力二法人の統合準備会議による評価見直しが行われた。サイクル機構は、動燃改革を受けて、運営審議会による経営の外部評価が行われた。この先、独法化されれば、独法としての評価制度が今度は適用されることになると。
 評価は結構なことなんですけれども、一年たってその評価が改善されていない、適切な反映がされていないということであれば大変ゆゆしきことでありますし、そもそも評価は数で勝負するのではなくて、ぜひ質で勝負をしてほしいなというふうに思うわけであります。
 評価される方にとっても、これは負担ばかり多くなるということになりかねないと思うんですが、さまざまな評価が乱立している中で、その質を確保するためにも、数は少なくてもいいから、ある程度きっちりとしたものに集約していくという必要性があると思いますが、いかがですか。

中山国務大臣 まさに御指摘のとおりで、いろいろなところからいろいろな評価を受けても困るわけでございますが、しかしまた非常に限られたところの評価だけに頼ってもいかぬわけでございますから、その辺のバランスは非常に難しいと思います。
 独立行政法人につきましては、この通則法に基づきまして、文部科学省の独立行政法人評価委員会が、当該事業年度における業務の実績評価、それから中期目標の期間における業務の実績評価を行うこととされております。また、先ほど私も出席させていただきましたが、総合科学技術会議におきましては、毎年度予算要求に際しまして、独立行政法人等の業務の実施に当たりまして、主要な業務の優先度、関連する施策等との重複や連携等について検討し見解を示すことが行われております。
 これらの活動は、それぞれの視点から行われておるわけでございまして、評価が乱立しているものとは考えておりません。研究開発評価というのは、質の向上や効果的な資源配分を行うという観点から極めて大事でございまして、今後とも、評価の進め方につきましては工夫改善を重ねまして、適切な評価が得られるように努力してまいりたい、このように考えております。

松本(大)委員 目を変えるというのも大変重要なことでありますが、私が言いたいのは、思い出したようにやるとか、アリバイづくりのようにやるとか、そういうことではなくて、ぜひ質の高い評価を継続的にやってほしいな、継続的な検証を可能にしてほしいなということであります。
 時間がありませんので最後の質問に移りたいと思いますが、先ほどの総合科学技術会議の評価では、八項目についてBとCという辛い評価がされている、この七年間で二法人合わせて七百六十億円も予算を削減されている。
 一方で、こういった機関評価、あるいは今回の統合準備会議の報告書を見ると、統合後の法人に対する期待が非常に大きい。ずれというかギャップが非常にあるわけでございます。一方ではだめだと言われ、お金も減らされている、一方では頑張れ、もっとお金をつけろというふうに言われております。
 大臣はこの矛盾についてどのようにお考えでしょうか、そしてそれをどのように解決すべきとお考えでしょうか。

中山国務大臣 非常に難しい問いでございまして、私のような門外漢のわかるところじゃないのですけれども、やはりそういう意味では、一つの事業について幾つかの視点から評価していただくというのは、非常に大事なことだと思っているわけでございます。そういった評価を十分に踏まえた上で、選択と集中ということを重点的にやっていくということが私の答えられることではないか、このように考えております。評価とかそういったものについては、やはり専門家の先生方の意見を十分尊重しながらやっていくということになるのではないか、このように考えております。

松本(大)委員 やはり、きょうの質疑を聞いている限りでは、経営の不在という、経営サイクルが機能していないというふうな感じをぬぐい去ることはできませんでした。
 要するに、計画やコスト、コストや期限というものが不明確であるということ、評価は身内にとても甘いものになって、お手盛りの評価であるということ、厳しい評価を受けても見直しが不十分で評価が改善されない、これでは、やはり国民のコスト負担に対する納得感というものは、なかなか得られないのではないかなというふうに思います。
 その結果、結局、お金も人も先細りとなり、原子力の大前提である安全確保というものがままならなくなるということに強い懸念を指摘しまして、私の質問を終わります。