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細見谷第7回委員会

細見谷環境保全調査検討委員会の第7回目を傍聴

今回の会議で「環境保全フォローアップ調査」なるものが紹介された。

工事の施工中、施工後に環境への影響の調査を行うものだと言う。

しかし、そもそも本委員会の趣旨は環境アセス。つまりあくまで「事前」の影響評価を行い、工事の着工の是非も含めた議論の検証材料を提供することにあるはずである。

前回の委員会で機構から「両生類への影響は工事をしながらでも調査できる」という発言があったが、それはこの「フォローアップ調査」を意味していたのかもしれない。

今回の委員会でも以下のようなさまざまな問題点(調査不足の点)が委員より指摘された。
こうした積み残しの課題を「フォローアップ調査」などという名前の先送りでごまかし、とにかく工事を着工などということを機構が画策しているようならとんでも無い話である!

本委員会の設置趣旨にかんがみ、時間をかけた十分な調査を元に、委員会による適正な事前評価が行われることを強く求める!!!

問題点1サンショウウオ
・ブチサンショウウオの幼生が素掘り側溝にたまるということは道路上の湧水で孵化したものが、側溝にたまっているという可能性を排除できないということ。つまり道路際の湿地にサンショウウオ類は産卵しないという機構側の説明は根拠に乏しい。

・ヒダサンショウウオについてはそもそも専門家の言及さえ少ない。つまりどこで産卵しているかが確認が取れていないということ。当然道路上の湧水で産卵している可能性を排除できない

・ハコネサンショウウオは本流の流れる標高800メートル地点ではなく、もっと水温が低い(6-8℃)標高1050-1200m付近で産卵するとのことだが、それならそこに上るまでに道路を通るはず。つまり産卵に向かうサンショウウオ類のロードキルの問題が発生する。

問題2 水生動物(昆虫)の調査に付いて
・調査日はわずかに2日。
・しかも時期は6月21日。昆虫はすでに(春先に)羽化してしまって、もっとも種類の少ないころ。
これでは生物多様性の現状把握は不可能。
・しかも今年の広島の6月は極端なカラツユ。渇水状態の水流の調査では意味が無い。
・さらにいえば、種の拮抗ということを勘案すれば、ある種が居なくなった後にまた別の種が出てくるという可能性もある。そのためには全ての季節で調査をしない限り、この地域の水生昆虫の多様性を正しく把握できない。

問題3 道路上の湧水に付いては底をコンクリートで固めるというやり方
・論外。全くナンセンス。
・水が干上がらないように、底をコンクリで固めるというが、おたまじゃくしのえさも無い。逃げ場も無い。全滅してしまうことは明らか。
・これは要するにコンクリ製の水槽を細見谷に用意するという話。ところが普通の水槽と違ってえさをやる人もいないし、屋内でもないので捕食者から守るすべもない。一網打尽に食べられることは明らか。しかも地下からの湧水はコンクリでさえぎられてしまうので、食べられないように別の場所で産卵と思っても水がたまっている場所すらなくなる。

問題4 森林管理所作成の林野施行実施計画
・林道完成後、人工林が理想の形になっていくという担保が全く無い。
・たとえば5年間でどのくらいやるとか、数値目標・計画目標など具体的なことは一切盛り込まれていない。
・これで本当に「林道」と言えるのか!!
・つまり木材生産上の効果、森林整備上の効果は現時点では全く不明。使うことが目的ではなく、単に作ることが目的の林道であることは明らか。
・とにかく林道だけまずは作ってしまって、あとは野となれ山となれといった趣である。

問題5 ツキノワグマ
・昨年の計画ではツキノワグマの捕殺は48頭以下の計画だった。しかし実際は110頭以上が殺された。ただでさえ絶滅の危機にあるのだから、このことからもツキノワグマの保護の必要性は高まっている。
・本地域がツキノワグマの越冬地であるかどうかは不明とのこと。つまり機構は確認を取っていないわけだ。
・しかし、ツキノワグマは越冬中に子供を生む習性がある。つまりもしこの細見谷が越冬地であった場合、着工はすなわちクマにとって冬眠できない、出産も出来ないということを意味する。
・ただでさえ減少しているツキノワグマの絶滅に対し拍車をかけることは明らか。
・クマの越冬地域であるかなど、活動地域に関する早急な調査が不可欠である。
・道路が出来れば昨年見られたようなクマに出会う事件がもっと増える可能性もある。
・奥山放獣が出来ればよいが、細見谷自体が奥山であるため、放獣すべき(ここより)奥山という地域は存在しない。つまり人と出会えばクマは直ちに捕殺されてしまう可能性が高い。
・これではますますツキノワグマの絶滅に拍車をかけてしまう。
・委員も再三指摘していたように、「委員が評価できる詳細なデータを機構側は提出する必要がある!!」

問題6 モグラ
・種の同定が行われていない。モグラの捕獲が難しいので機構は捕獲をやっていないということだが、座長もおっしゃっていたとおり、「やってやれないことはない」はず。生物多様性の現状把握の観点からも、必ずやるべきである

問題7 既存の開通箇所で、年間何台の車が利用しているのかデータを出すべき
・一般の方から募集された中にあった意見。これに対し、機構は近隣のスキー場の駐車場の利用台数が昨年12月から今年3月までで2万7千台という数字を参考に挙げている。
そもそも既存の開通箇所は冬季は雪で通行不能であり、スキーへの来場者はこの林道を通らない。
つまり全く無関係のデータを、さも近似値のように引き合いに出しているわけだ。
その姿勢は姑息であり、誠実さに欠けるものである。

問題8 オオバユリ
・現状確認をしたわけでもないのに、写真だけを見て、こんな本州の南側に「あるはずがない」とという思い込みのみで「オオバユリ」の存在は確認できないと結論付けてしまうのはあまりに乱暴な議論。
・座長の指摘どおり、「もう少し確認」する必要がある。

問題9 自動撮影装置など、正しい現状把握に資するしくみを活用すべき
・委員から指摘あり。

問題10 工事に入った場合、マズイ結果が出たときの方針変更の仕組みが全く担保されていない
・フォローアップ調査といったところで、いったん工事が着工されてしまえば、たとえ施工中・施工後にマズイ結果(希少動植物の死滅など)が出たとしても、方針変更を誰がどういう形で判断するのかなど、事後的検証→必要あらば方針変更という救済措置が全く担保されていない。
・つまり拙速な判断が行われた場合、事実上一度失われた自然は二度と回復不可能。

やはり徹底的な現状把握が不可欠であり、そのためにはもっと時間をかけた精緻な調査が必要である。不十分な調査を元に判断を迫られている委員の方々が逆に気の毒に思えるほどの委員会であった。アセスのスタートは正しい現状把握から。
上記のようなさまざまな問題点に関し、時間をかけて再調査することを重ねて強く要求する!!!