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義務教育国庫負担制度

文部科学委員会にて質問に立つ。

義務教育費国庫負担法は公立小中学校の70万人の教職員の方々の給与を国と都道府県が折半することを定めたもの。現状2分の1である国の負担比率を3分の1にしようというのが、今回の改正案の内容。

今、各地で確定申告が行われている。私も先日行ってきた所。「所得税の確定申告の手引き」の最後のページには「国の歳出1000円あたりの使い道がのっている。教育は70円だ。17年当初予算82.2兆円に対する文科予算5.7兆円の割合だ。来年の確定申告の手引きではこれが1000円当たり66円になる。18年予算案では79.7兆円に対し約5.3兆円だからだ。ただでさえ70円しかないものを66円に切り詰めて充実だとは、納税者の誰一人として思わないだろう。教育・文化立国、科学技術創造立国のかけごえも虚しく響くばかりだ。

今日の審議で明らかになったのは、この措置が「恒久的措置」であるということだ。

定率減税は「恒久的減税」であって、「恒久減税」ではない。したがって将来にわたって維持することを約束した減税ではないとの論法を得意顔で語ってきたのは今の政府与党だ。

つまり、3分の1に引き下げられた国の負担がさらに引き下げられる可能性を文部科学大臣は否定していないということだ。

こうした形で教育に対する国の予算が削られていくとどうなるか。

最大の被害者はわが国の未来を担う子供たちである。

教員の年齢構成は私たち第2次ベビーブーマーが小中学校に入学した時点の大量採用の影響で、45歳以上が全体の4割以上を占めている。こうした年齢構成のために今後急速に教員の高齢化が進み、大量退職時代を迎えます。これが退職手当負担となって地方財政を圧迫する。平成25~26年をピークとして今後30年ごろまで累計4兆円規模の人件費負担増に直面するという指摘を東大の苅谷教授が行っている。

一方で今後15年間で小中学校教員の約半数が入れ替わる中、退職者分を埋め合わせるために大量の教員を雇用しなければならない。同教授の試算によればH20年以降10年以上毎年2万人を越える方を新たに雇い続けなければならない。しかし、この数字は今の教員養成課程の定員の倍であり、今後は各自治体が深刻な教員不足、教員獲得競争の激化に直面することが予想される。

つまり中高年教員の大量退職による退職手当などの人件費負担増と教員不足が同時に進む。教員不足で地域間の教員確保競争が激化する。

不足する教員をいかに確保するかは財政力がものを言う。ところが三位一体の残る一つ、交付税は今後削減対象になっていくことも予想される。

そうなれば、大量退職による人件費増大が地域の財政を圧迫する中、財政力の弱い自治体は教員の質と量を十分に確保できるのか?

やはり機会均等や水準維持といった義務教育の根幹が維持されなくなる可能性は否定できないのではないか。

私は元銀行員。担当企業の事業再建に向けたアドバイスを行っていた。もちろん企業改革や事業再構築の本丸は、会社のビジョンを明確にすることであり、何を商売とし、何を強みとし、商売を通じて社会にいかに貢献していくかという企業のミッションを再定義することであり、これは社長の仕事である。私は財務面からの改革に貢献できればと思っていた。

しかし財務面の改革をやるにしても、ものには順序がある。財政状況が厳しくなった会社が取り組むべきは、第一に代取を含めた役員報酬の削減、経営陣の待遇の見直し。次に遊休資産・不稼動資産の売却、続いて有利子負債の圧縮、過剰投資の見直し、仕入れコスト・調達コストの見直しである。

「知識社会」と呼ばれる世の中にあっては独創性などの「知」こそが企業の競争力の源泉であり、その「知」を生む人材こそが唯一無二の資源です。こうした「知」やそれを生み出す人材への投資、すなわち教育研修費であるとか、研究開発投資であるとか従業員の給与の見直しは、さきほど述べたような様々な経営努力をおこなった後で、それでも駄目なら初めて手をつけるべき領域のはずである。

ところが我が国ではどうか。国の財政は厳しいというが、国庫負担が7割にも達する議員年金は温存された。実に2万2千人もの中央官僚obが、約4000ヶ所の公益法人天下り、その天下り先に単年度で5.5兆円ものお金が投入されていることが判明したのも記憶に新しいところ。こうした天下り、obの受け入れを条件に、防衛施設庁が官製談合を主導してきた、政府調達に際して95.9%という異常とも言える高い落札率で税金の無駄遣いが放置されてきた問題も明るみに出た。国家経営者、経営陣の特権は温存され、過剰投資の見直しや調達コストの見直しは全く行われていない。その一方で、文科大臣自身も「国の宝」とおっしゃる人材への投資がまっさきに削られようとしている。

本来まっさきに切り込むべき既得権を放置したまま、今後交付税削減が進めば、しわ寄せを食うのは、未来を担う地域の子供たちである。しかも彼らには税金の使い方についての発言権、投票権は無い。
国家経営のありかたとして間違っていると思わざるをえない。