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労働国会

電力総連女性委員会の皆様の前で講演。

今日は事前に伺った関心事項をもとに「働き方」をテーマにお話させていただいた。

今国会は言わば労働国会でもある。雇用・働き方に関する6法案が審議される予定である。

近年「働き方の二極化」ということが言われている。

小泉政権誕生前の2000年と05年を比べると、正規が3600万人から3300万人へ
非正規が1300万人から1600万人へ
いまや働く人の3人1人が非正規雇用である。

民間平均給与が8年連続下落を続けている理由の一端がここにある。
仕事の総量は変わらないため、週35時間未満のパート労働者数が増えれば、減った正社員一人当たりの労働時間は逆に増すことになる。
長時間残業する正社員となるか、それとも週35時間未満の非正社員か。
これが働き方の二極化だ。

これ少子化や格差といった問題(経済格差、そして家庭の経済格差に起因する子どもの教育格差と格差の世代間連鎖)にもつながっていることは言うまでも無い。

ホワイトカラーエグゼンプションとは、言ってみれば残業代不払い法案、過労死促進法案だと言われることがある。

なぜこのような不名誉な呼び名が付くのか。
ILOが週50時間以上働く人の割合というものを国際比較している。
フランスやドイツが約5%
イギリス15% 
アメリカ20%
日本は何と28.1%
先進国の中でも日本の労働時間は飛びぬけて長いことが分かる。

日本の30代男性のおよそ4人に1人が週60時間以上働いているという調査結果が発表されたことも記憶に新しい。
私も30代男性の一人。先週は広島⇔東京往復の移動時間を除いても76時間労働であった。
(おそらく月平均300時間勤務である)

ちなみに残業はどうか。
ある調査によれば1ヶ月に80時間以上残業している人も全体の約5%いるといわれている。
週に40時間を超えた部分を残業とすれば、私も月に130~150時間ぐらい残業している計算になる。

ちなみに、2006年4月の労働安全衛生法改正で、休日出勤を含む1ヶ月あたりの時間外労働が100時間を超えた労働者は、医師等による面接指導を受けることになっている。
つまり過労死が懸念される水準の1.3~1.5倍近く働いている計算だ。我ながら恐ろしい。

従って働き過ぎの問題は、私にとってももちろん他人事ではないわけだが、一方でそうしたサラリーマンに残業代はきちんと支払われているのか。

厚労省不払い残業について是正勧告を行なった事例(対象)は約1500社、約17万人の労働者に対し金額にして200億円を超える不払いがあったことが判明している。

現状の1日8時間、週40時間の規制の下ですら、先進国で飛び抜けて長い労働時間となっている我が国で、しかも分っているだけでもすでにこれだけの不払い残業が存在しているのに、今の規制を緩和してしまったら、すでに横行している不払い残業が結果として追認・合法化されてしまうことになりはしないか。

長時間労働の無制限の広がりや労働時間の二極化をさらに進めるものとなってしまうのではないか。

そうした懸念を拭い去ることが出来ない。

労組の推定組織率は現状約18% 31年連続で低下中である。
残り8割の雇用者には組合を通じて経営者に待遇改善を求めるという手段もないわけだ。
立場の弱い人への不払い残業がさらに加速する恐れはないのか。

これが過労死促進法案、残業代不払い法案と呼ばれている理由であり、私たち民主党が反対している理由でもある。

アメリカでも導入されているじゃないかと言われるが、そのアメリカですら、週50時間以上働いている人の割合は20% 
28%の日本より低い。
そんな状態で日本にホワイトカラーエグゼンプションなどを導入してしまったら、アメリカをさらに引き離し、30%,35%とその比率はどんどん高まって行くであろうことは容易に想像出来る。

もちろんヨーロッパと比べてみた場合も同様だ。ヨーロッパにもホワイトカラーエグゼンプションのような制度がある。イギリスではオプトアウトと呼ばれる。しかしEUでは連続して11時間以上の休息時間を確保することが義務づけられており、その結果例えば翌朝の出勤時間が9時である場合は、前日の残業は夜10時までが限度という縛りがかかっている。

日本のようにこうした休息時間の確保を義務づけた法律もない中でホワイトカラーエグゼンプションが導入されれば、今ですら仏独5% 英国15% なのに、現状28%の日本との差はますます拡大することになりかねないのではないか。

我が国にはなじまないと言われているのはそのためだ。
そもそも労働時間規制には、労働者の長時間労働を抑制し、心身ともに健康な生活を維持・確保するための役割がある。しかし、現行の制度でも、サービス残業過労死の問題など、健康確保が十分に果たされているとは言い難い。
現状でも健康確保が十分にできていない中で、また現場で働いている人たちを「労働時間だけが売り物」とのたまうような著しく資質を欠いた厚労大臣の下で、日本版ホワイトカラーエグゼンプションが導入され労働時間規制が緩和された場合、ワークライフバランスをもたらすものになるとは到底思われない。

政府与党は今国会での法案提出を見送ったと伝えられるが、これが参院選後に先送りされる可能性はゼロではない。
生活者、働く全ての人たちの代弁者として、「美し」くあることよりもまず、「健やかな」暮らしを取り戻し、守り抜くことに全力を注いでいくことをお誓い申し上げたい。