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消えた年金問題

宮内串戸で朝立ち。

今月からまたしても増税が行なわれる。

いわゆる定率減税の廃止というやつだ。

定率減税、つまり所得税の2割引と、住民税の15%引きは今月で廃止されることになる。つまり早い話が増税だ。

1月に行なわれた所得税の税源移譲で、一時的に税金が下がった、手取りが少し増えたという方も、今月からはいよいよ定率減税全廃の影響で住民税が増税となり、手取りが減ることになる。

昨年、あるいはおととしの給与明細と是非比べてみて頂きたいと思うが、この定率減税の廃止でどれだけ増税になるのか。昨年分、そして所得税分をあわせれば、(年収700万円でお子さん二人というご家庭で年間8万円、)年収500万円でお子さん二人というご家庭で年間35千円の増税だ。

景気拡大は戦後最長と言われるが、民間平均給与は8年連続下落を続けている。奥さんやご主人の収入をあわせ、世帯単位の所得を比較してみても、1世帯当たりの平均所得は、過去10年間で最低を記録しており、しかも平均所得以下の世帯が6割になるなど、所得格差も広がっている。

こんな中、定率減税の廃止が行なわれ、今年もまた年金保険料が、国民年金は4月分から引き上げられた。厚生年金は9月から引き上げとなる。

現役世代の方だけでなく、高齢者の方にとっても、昨年は老年者控除の廃止などの影響で住民税、国民健康保険料、介護保険料など大幅な負担増が行なわれた。

こうした形で生活者の家計を直撃する負担増が相次いで行なわれる一方で、政府の不正や無駄遣いは一向に改まっていない。

社会保険庁のでたらめぶりはその象徴だ。

国民年金納付率のかさ上げ、偽装・粉飾のために、つまり社会保険庁の保身のために年金保険料が不正に免除され(約38万件。2006年8月。社保庁最終報告)てきたことは皆さんご存知の通りだ。

これだけでも許しがたいことなのに、なんと肝心の、まじめに保険料を払ってきた人が受け取る年金についても、社保庁のずさんな(納付記録)管理が原因で、納付記録が紛失したり、生年月日などの重要なデータが抜け落ちたり、名寄せがうまくいっていなかったりしたために、年金保険料の支払実績が受け取る年金の金額に正しく反映されなかったとして、社保庁が年金支給額の訂正に応じたケースが過去6年間で実に22万件にも及んでいたこと、また誰が納めたものなのか分らない、いわゆる宙に浮いた年金の納付記録が、コンピュータに入力されているものだけでもなんと5000万件にも及んでいること、さらには、いまだにコンピュータに入力すらされていない納付記録、つまりは第2の消えた年金とも言うべき誰のものか分らない、該当者不明の納付記録が、さらに1430万件も存在していることが明らかになった。

まったくとんでもない話だ。私たちが追求しなければ5000万件も明らかにならなかった。その他に1430万件の未入力があることも隠していた。こんなに社会問題化しているにもかかわらず、指摘を受けて初めて情報公開を行なう。あまりにも不誠実ではないか。

他にもまだ何か不都合な真実を隠し持っているんじゃないか。こんな体質の社会保険庁、政府与党にこのまま任せていたら私たちの年金は一体全体どうなってしまうんだろうか。そういう不安がぬぐいされない。

私たち民主党は、1年以上前からこの消えた年金問題を国会で取り上げてきた。しかし与党はこの問題に正面から取り組むことなく、5000万件という件数すら今年2月になってようやく明らかになったものだ。時効のために受け取れなかったケースは推定25万件、金額にして950億にも及ぶということも、ずっと答弁を逃げ続け、審議の後半でしぶしぶ出してきた。

このままでは多くの人達の年金が本来もらえる金額を下回ってしまうことになる。これでは年金不信、年金空洞化に一層拍車がかかりかねないという私たちの指摘にも耳を傾けることなく、また私たちがいち早く提出した消えた年金被害者救済法案についても、見向きもしない。

政府提出の社保庁(改革)関連法案だけで十分なんだと強弁を繰り返し、挙げ句の果ては国会審議を途中で打ち切り、強行採決まで行なった。

ところが、世論の批判から安倍内閣の支持率が30%台に急落するのを見るやいなや、付け焼き刃、抜け穴だらけの議員立法をあわてて国会に追加提出し、しかもその欠陥を指摘されるのを恐れてか、審議時間わずか4時間で強行採決まで行なってしまった。

しかもその内容は、年金支給額の訂正にかんする5年間の時効を撤廃するというものにすぎない。

消えた年金の被害者には3パターンある。
一つは証拠を持っていて、社保庁が納付記録の訂正に応じる人、2つめは証拠を持っていないために、社保庁が納付記録の訂正に応じない人、そして3つめは自分の年金の記録が消えているとはつゆしらず、いまだにそれに気付いていない人。

この3類型だ。

ところが今回与党から提出された法案では、社保庁が納付記録の訂正に応じたごくわずかな人、つまりは何十年も前に自分が年金保険料を支払ったことを証明出来るごくわずかな人しか救済されない。

2006年末までの4ヶ月間の間に、社保庁が庁内に記録がなくても、訂正に応じたのはわずか84人。一方、領収書などの証拠が無いなどと門前払いされた対象者は20000人を越えている。

つまりは、記録を訂正して欲しいと申し出た2万人を越える人達のうち、証拠がないと却下された人が大多数を占めているわけだ。

何十年も前の納付記録となれば、しかも支払先は国なんだから国の方できちんと管理してくれるに違いない、あとでもう一度払えとか二重請求される心配もない、間違いないだろうと思って払っていらっしゃるのだから、きちんと払った側が証拠を保存しているケースの方がむしろ珍しい。従って証拠を持っていらっしゃらない方がほとんどであるのは無理もない話だ。

つまりは、与党案のように、単に時効を撤廃するだけでは、自分で証拠を保存し運良く記録を訂正された人しか救済されない。その他多くの被害者はこれまでと同様泣き寝入りを余儀なくされてしまうことになりかねないと言うことだ。

また、政府与党は宙に浮いた、つまり該当者不明の納付記録5千万件について、1年以内にすべてチェックすると言っているが、これについても、そもそもその5千万件のデータは正しく入力されているのか、正しく入力されていたなら、どうして基礎年金番号導入からすでに10年も経っているのに、これまで統合がうまくいかなかったのか、こんなにも多くの該当者不明のデータが残ってしまったのかという視点がすっかり抜け落ちてしまっている。

厚生年金や国民年金の納付記録は、以前は紙やマイクロフィルムで管理されてきた。これを1979年から89年にかけ、バイトを雇うなどしてコンピュータに入力を行なってきたわけだ。ところが80年代半ばまで、名前はカナ入力だった。

このときに、元の台帳に書いてある漢字の名前の読み方を間違えてコンピュータにカナ入力してしまっているケース、生年月日を間違って入力してしまったケースが数多く存在しているのではないか、だから基礎年金番号で管理されている本人の正しいデータと一致しない、つまり統合出来ないのではないかとの指摘がある。

また現在の基礎年金番号は97年に割り振られたものだが、それまでは会社が変わるごとに、住所が変わるごとに、年金の種類が国民年金から厚生年金に変わるごとに、結婚などで姓が変わるごとに別々の番号が振られてきた。つまり一人の人が何種類もの番号を持っていたわけだ。

これが97年当時3億件にまで膨れあがってしまった。そこでこれではまずいというわけで、一人に一つずつの基礎年金番号というものが割り振られることになった。

これが97年。つまりその後10年かけて、3億件はやっと半分近くにまで減ってきた、つまり受給者3千万人、被保険者7千万人、そしてどうしても統合出来ない、つまり誰のものか分らない該当者不明の納付記録がコンピュータ上に5000万件、コンピュータに入力すらされていないデータが1430万件。

つまり10年経った今も、統合がうまくいっていないデータが5000万件であり、1430万件であるということだ。

なぜ統合がうまくいかないのか。1430万件については、1954年4月以前に退職し、その後5年以内に再度厚生年金に加入しなかった方の記録、つまり現在おおむね70歳以上の方の記録だからとして、本人が年金を受け取るときに、いや実は54年3月に退職して、その後は自営業をしてましたとか、厚生年金のない、小さな会社に転職しましたとか、本人から申請が無い限りは自ら進んで調べない、教えない、手を動かさないという態度を社保庁がとり続けてきたからだ。

また、5000万件については、そもそもコンピュータに入力したときに、名前の読み方や生年月日を間違って入力しているという原因が考えられる。

従ってこれまで通りのやり方を続けていくのであれば、これまでの10年と同じ結果になりかねない。つまり相変わらず該当者無しの結果になりかねないわけだ。

データの突き合わせを行なうなら、そもそも付き合わせるデータが間違っていたら話にならない。だからこそ、私たちはもとの紙台帳、マイクロフィルムにあたって、まずコンピュータ上のデータが間違っていないのか早急に、かつ徹底的に点検を行ない、その上で現在の受給者、被保険者約1億人のデータと付き合わせ、統合を進めるべきだと訴えているわけだ。

また、今回の時効撤廃法案だけでなく、社保庁改革関連法にも、重大な問題点が潜んでいることも指摘しておかねばならない。

政府は社保庁改革と称して、どさくさ紛れに年金を流用する新たな法案を密かに通そうとしているというのが実態だ。

これまでも、「福祉を増進するため」に必要な施設と称して、私たちの大切な年金保険料がグリーンピアのような無駄なハコモノ建設にじゃぶじゃぶと浪費されてきたことは皆さんよくご存知の通りだ。年金給付以外の目的に流用された保険料は総額で約6兆円にも上り、いってみれば年金なんでも福祉法とでも言うべき状態だった。

ところが今回の改正で、年金保険料の使い途は、年金に関する教育や広報、相談、情報提供などに拡大され、これでは年金教育や情報提供と称して不必要な機材や意味の無いサービスであっても年金保険料を流用することが可能となる。

つまりは、今回は改正などではなく、年金保険料の際限の無い流用に道を開く、いわば年金なんでも流用法案だ。

そればかりではない。
今年(19年度)も私たちの大切な年金保険料からなんと1000億近いお金が、年金事務費という名目で年金給付以外の目的に使われることが決められている。しかし今までは、まがりなりにも毎年予算関連法案(特例法)として国会審議が行なわれてきた。ところが今回の法改正で、これからは毎年の国会(特例法)審議は不要となる。
政府の社保庁改革関連法案は、こうした年金保険料の流用を、今後は毎年の国会審議無しで可能にしようというものに他ならない。つまりは改革とはほど遠い、年金流用恒常化法案というのが実態だ。

金保険料が不正に免除をされる、まじめに払ってきた人の保険料の納付記録が社保庁のずさんな管理が原因で紛失してしまい、あるいは不明となり、保険料の支払い実績が年金の受給額に正しく反映されなくなる、社保庁改革と称してどさくさまぎれ年金保険料の新たな流用に道を開く、しかも今後は毎年の国会審議無しで年金事務費への流用を可能にする。

こんな与党のでたらめを許していたら、一体全体私たちの大切な年金はどうなってしまうのか。

社保庁のずさんな管理が原因でまじめに保険料を払ってきた人たちの年金までもが消えてしまう、減ってしまうというようなとんでもないことがこのまま組織の衣替えだけで許されてしまってよいのか、改革とは名ばかりの年金保険料の流用し放題、無駄遣いし放題を許すのか、それともそのような与党の姿勢にはっきりとNOをとなえるのか、参議院選挙でも大きく問われようとしている。

年金制度への信頼を回復し、老後の安心を取り戻していくために、今後も国会審議の場で迫力ある論戦を展開してまいりたい。