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医療~検証その3

郵政選挙が行われたときは、翌年予定される医療制度改革について私たちが意思表示すべき絶好のチャンスだった。

なぜか。小泉さんは医療制度の抜本改革先送りの常習犯だったからだ。

当時の総理、つまり小泉さんが厚生大臣だった当時の97年、健保法改正により本人負担は1割から2割へと増えた。しかしその際の条件であった「医療の抜本改革」を行なうという約束はいまだに履行されていなかった。

当時小泉さんは2000年度には必ず抜本改革をやると約束したが、その約束は結局ほごにされ、抜本改革は2002年度に先送りされた。

2002年、小泉さんは総理大臣だった。しかしご自身が厚生大臣だったときに約束された医療制度の抜本改革は、やっぱり実現できなかった。にもかかわらず、負担だけは現役世代は2割から3割へと再度引き上げられ、高齢者に対しても負担増が強行された。

97年の引き上げのときから郵政選挙まですでに8年間も抜本改革の約束は放置され続けてきたわけだ。負担増の条件であった抜本改革の約束は1度ならず2度までも反故にされてきた経緯があったわけだ。

しかし郵政民営化の○×の影にかくれ、こうした問題も含めて与党が信任を得たということになってしまったのではないか。

あれから約2年。

結果どうなったか。

来年から医療関連の負担がまたしても引き上げられることをご存知だろうか。

2008年4月から
・70-74歳の窓口負担を1割から2割に引き上げ。
・75歳以上の全高齢者から保険料を集める新たな高齢者医療制度を創設。想定される保険料は全国平均で月に6200円。現在の老人保険制度は廃止する。
・65-69歳の長期入院患者の食費、居住費を自己負担化。

私たちは、新たに高齢者医療制度を創設することなく、70歳以上は現行どおり自己負担1割、現役世代並みの所得の方は従前の2割負担(2006年10月から70歳以上の現役世代並み所得の方は3割へと引き上げられた)へと戻すべきだと考えている。

たとえこの負担割合にしたとしても政府案に比べて2025年度の医療給付は6500億円増加するに過ぎない。
また真に医療を必要とする患者の食費・居住費には、政府案のように65歳以上の長期入院患者は軒並み自己負担とするのではなく、やはり医療保険を適用すべきであると考える。これによりさらに700億円医療給付は増加する。

また就学前のこどもの医療費自己負担は無料(政府案は2008年4月から2割負担)、義務教育期間の自己負担は1割へと引き下げ(現行は義務教育期間の自己負担割合は3割)ます。これによってさらに2300億増加する。

しかしタバコ増税、予防医療の強化(たばことあわせて3.6兆円)、医療の標準化(5000億円減)、後発医薬品の利用促進(1兆円減)によってこの増加は十分吸収できる上、政府案に比べさらに1.3兆円も逆に医療給付を抑制できるのではないかと考えている。

さらに言えば、そもそも政府が負担増の理由に挙げている医療給付の増加は、根拠に乏しいものであり、今回ほどの負担の引き上げは必要ないのではないかとの疑いが拭い去れない。

政府は今回の改正で2025年度の医療給付費(診療報酬から自己負担分を除いたもの)を従来推計の56兆円から48兆円に抑制できると主張している。しかし、この数字さえ、根拠に乏しいものといわざるを得ない。そもそも1994年には、医療給付費に自己負担を加えた国民医療費(総医療費ではない)は2025年にはなんと141兆円になるといわれていた。それがたった12年間で国民医療費の見込み額は一気に65兆円まで下がる。どれだけふっかけていたのかが分かるというものだ。

実はまだまだ下がるんじゃないか、だとすれば医療給付費の見込みも合わせて下がるし、そんなに保険料や負担を引き上げなくてもよいのではないかという疑いを拭い去ることが出来ない。

というのも、48兆円という見込みは、95年度から99年度までの医療給付費の平均伸び率を2025年度まで延長した値に過ぎないからだ。しかしご存知のように、2000年度には介護保険が導入され、医療費の伸びは抑制されている。
にもかかわらずあえて介護保険が導入される前の年までの5年間の伸び率をあてはめて医療給付費の伸びを実際よりも多く見積もってしまっているわけだ。

したがって2025年度の医療給付費を予測するなら、当然介護保険導入の効果を勘案して推計すべきだ。たとえば2000年度から2003年度までの平均で見た場合は、2025年度の医療給付費は25兆円となり、ほとんど増えないということになる。また、94年度から2003年度まで10年間という風に、長いスパンで平均伸び率をとった場合は、2025年度の医療給付費は34兆円となる。つまり政府の見積もりである48兆円の半分から3分の2程度の金額ですむという見方も可能であるということだ。

したがって政府が今回の保険料引き上げの理由にしている2025年度の医療給付費48兆円という数字は、実は根拠に乏しい将来推計であるといわざるを得ない。

根拠に乏しい試算に基づきやみくもに負担のみを引き上げるという財政一辺倒の医療制度改革は、皆保険制度を破壊しかねない。老後の安心やいざというときの安心を取り戻し、長生きを喜べる社会を築いていくために、民主党は真の医療制度改革を実現することをお約束申し上げたい。