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原爆症認定の在り方に関する検討会

松本が事務局長をおおせつかっている民主党被爆者問題議員懇談会を開催。(なお会長は、長崎選出の高木よしあき衆議院議員民主党副代表)。)

8月5日、被爆者との懇談の場で、安倍総理原爆症認定のあり方の見直しを行なうことを表明したことを受け、原爆症認定の在り方に関する検討会が設置されることになった。

民主党は8月10日、小沢代表名で安倍総理と当時の柳澤厚生労働大臣に宛て、原爆症認定に係る集団訴訟の控訴取り下げや断念(提出当時は熊本地裁分の控訴は行なわれていなかったが、結局同日付で控訴されたことが後に判明)、さらに現行の審査の基準を廃止し、実態に即した認定行政を行なうよう要請書を提出している。

この原爆症認定の見直しについては、後に舛添厚生労働大臣も8月30日、広島市内で記者団に対し「年内をめどに被爆者の救済策を取りまとめたい」としており、本日は、総理や厚生労働大臣の発言、さらに我が党の要請書を受け、厚生労働省としてどのように取り組んでいるのかをヒアリングすることとなった。

この日の焦点の一つとなったのは、先ごろ発表された「原爆症認定の在り方に関する検討会」の人選についてだ。

計8人の検討会メンバーのうちのお一人、甲斐倫明氏は大分県立看護科学大学看護学部教授だ。

一方、現状原爆症認定の審査を行なっているのは厚労省の審査会の被爆者医療分科会というところなのだが、この被爆者医療分科会の分科会長代理の草間朋子氏は大分県立看護科学大学の理事長である。

被爆者医療分科会の審査が機械的であり、実態を反映していないと司法の場で繰り返し指摘されているからこそ、国は集団訴訟で6連敗中なのである。

それを受けての安倍総理の「見直し発言」だったはずだ。

その見直しを検討する検討会のメンバーに、見直されるべき審査をつかさどっている被爆者医療分科会の会長代理と同じ大学の人をあてている。

これで果たして現行の審査のやり方を根本的に見直すべきだという指摘ができるだろうか。検討会に期待されている職責を全うできるのだろうか?

同じ組織の人が会長代理をつとめている被爆者医療分科会の審査のやり方に対する検証は、おのずと腰が引けたもの、つまり遠慮がちなものにならざるをえないのではなかろうか?

そういう疑念をもたれても仕方の無い人選であり、うがった見方をすればそういう効果を期待した人選ということもできよう。

厚労省の言い分は、「専門性を持つ人は限られている」ということだったが、仮にそうだとしても、同じ組織の人は外して別の方をあてるか、どうしても他にいなければ、検討会のメンバーは8人と決まっていたわけではないのだから、1人減らしてでも被爆者医療分科会と同じ組織の人は外すという配慮があってしかるべきだ。

この被爆者医療分科会の会長代理である草間朋子氏は、9月14日、広島高裁において原爆症認定を求める集団訴訟の第3回口頭弁論で国側の証人として出廷されており、その際「急性症状を参考に審査することはまったくない」と発言し、さらに分科会での審査時間が申請1件当たり平均4分足らずであることも明らかにしている。

まさに、被爆がもたらした事実から目を背け、機械的に審査の基準を当てはめている被爆者切捨ての審査の実態が赤裸々に語られたともいえるわけだが、まさにこういう実態に対して、司法が6度もその誤りを指摘しているにもかかわらず、その司法判断を受けた総理の指示が、人選を意図的に厚労省の意に添う形で行なうことによって見直しを小幅にとどめよう、骨抜きにしよう、議論を制約しようという魂胆といえる。

厚労省は、「この在り方に関する検討会には白紙で議論してもらう」として結論有りきの人選ではない、議論は制約しないという趣旨の説明を冒頭に行なっていたが、こうした人選が行なわれることによって、実質的には腰の引けた検討にならざるを得ないではないか、事実上議論を制約しているではないか、こんなことで司法が批判している被爆者医療分科会による機械的な審査の見直しにつながるのかと問いただした。

厚労省の回答は恐るべきものであった。

「このあり方に関する検討会はあくまで「審査の基準」についてを検討する会であり、被爆者理療分科会の審査のやり方については、検討事項の「その他」に含まれるものの、あくまで次の課題だ」

との答弁であった。しかし表向きは、この在り方に関する検討会の検討事項は

(1)原爆症認定の在り方について (2)その他

となっているだけで、この文面からは「審査の基準」のみに検討事項はあくまでも限られていることを読み取ることは出来ない。

認定の在り方について検討するなら、「基準」もさることながらその「運用」にも目を向けなければ意味が無いからである。

基準をどんなに見直したところで、運用でなし崩しにしてしまえば、省庁の裁量次第で結局従前どおりか小幅な変更に認定行政をとどめておくことが可能だからである。

今日の被爆者問題議員懇談会では、総理の見直しの指示を意図的に限定的に解釈し、恣意的な人選と検討事項の限定によって、認定行政見直しを小幅なものにとどめよう(抜本的な改善は阻止しよう)とする厚労省の意図が明らかとなった。

3ヶ月で結論を出すというが、こんなことでは、見直しを検討しましたが、結局小幅なもので事足りますという結論になりました、ということになりかねない。

参院選惨敗を受け、政府与党のその場しのぎのアリバイ作りのようなリップサービスが繰り返されれば、高齢化する被爆者は期待だけを持たされてまたしても時間だけが浪費されることにもなりかねない。

この検討会には広島からも鎌田七男先生など裁判でも遠距離被爆、入市被爆の実態について引用されるような研究を行なっている専門家の方も選ばれている。是非とも検討会のメンバーの方の奮起を期待したい。