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原爆症認定について

宮内串戸で朝立ち。

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第6回原爆症認定の在り方に関する検討会を傍聴。

本日の検討会では丹羽座長代理より、「これまでの議論のまとめ(案)」が提示された。
抜本的見直しとはほど遠く、要するに現行の審査の方針を維持し続けるものに他ならない。科学の限界を指摘し続けてきた司法判断をないがしろにするものといわざるを得ない。
具体的には以下のとおり。

・ 第一に「○科学的な知見に基づいた放射線起因性を基本とする」と冒頭に記され、従来の厚労省方針は大原則として不変であるかのように読める点。累次の司法判断では、科学の限界が指摘されていたにもかかわらず、この判断を軽視するものとならないか。科学的知見を絶対視することにより、科学的に未解明な部分については切り捨てが続けられるようにも読める。

・ 第二に被曝線量の評価について。とくに残留放射線。現行の認定基準では事実上排除されていた残留放射線および内部被曝の影響についても検討項目に入れているとされている。残留放射線について、丹羽座長代理は「測定できる」、「一つの指標としたい」と述べたが、これは2つの点で問題がある。一つ目は本当に測定できるのか、個人ごとに評価を行うことで可能としているが、本当に正確にできるのかという点。弁護団は、「数値化は困難。しかしだからといって影響を過小評価するべきでは無い。だからこそあらゆる証拠を総合的に判断すべきだ」という趣旨の主張を行なってきた。司法判断の高度の蓋然性も同じ立場であると思われる。これは個人ごとに評価すれば「測定できる」とする座長代理の立場と完全に食い違う。また被爆から62年を経て、移動経路の立証等がどこまで可能なのかという点で疑問が残る。さらに残留放射線の影響を図る際にもととなっているデータは台風で地表が流された後のもので過小評価につながっているとされており、これがそのまま援用されるのであれば信頼性に欠けるといわざるを得ない。もう一つの問題点は、一つの指標というが、ではどの程度考慮するのかという点。今回の会合においてはまったく明らかにされていない。

・ 第三に放射性起因性の判断について。現行の審査の柱となっている“原因確率”を維持したうえで、被爆直後の急性症状などを個別に考慮して総合判断する旨示された。この日の座長代理の発言や翌日の新聞報道などでは、原因確率を用いることについておおむね合意したとされている。しかし、実際には本日の当会の席上、鎌田委員が、原因確率を原爆症認定に利用することに合理性はない、と明確に反対している。弁護団は、原因確率の基となるデータは、放影研の疫学データに基づいたもので、このデータは入市被曝者を非被爆者として扱っているため、原因確率が正しく求められないと批判してきたが、この批判にもこたえられていない。

・ 第四に審査の取り扱いについて。総合判断と経験則に基づき審査するとされたが、丹羽座長代理は、このことを文章化することは難しい旨発言している。それでは、どのように審査するのか、現時点では明らかではない。
・ また、審査体制を強化するといいながら、金澤座長は、人的には難しいかもしれないが時間をかけたい旨発言した。これは、今までのメンバーで審査するように聞こえる。総合判断と経験則に基づき審査しうる人の加入など、医療分科会の人選の見直しなどがなければ、審査体制が強化されたとはとてもいえないし、「総合判断と経験則」についての担保が存在しないことになる。
・ 座長は、原因確率5割以上については審査を省略し認定することにより審査を迅速化し、5割以下の人についての個別審査にかけられる時間が増えると発言した。しかし、この場では、原因確率5割以上の人が毎年の新規申請者の何割程度を占めるのか示されなかった。また、分科会の草間氏によると、現在審査に一人当たり4分足らずの時間しかかけていないのに、一部の人が審査省略となったところでどのくらいの迅速化が図れるのか。効果は不明。

・ 第五に、丹羽座長代理は、十分な議論ができたとして、次回に結論をまとめるとも受け取れる発言を行なったが(実際NHKは次回が最終報告書のとりまとめと報じている)、結論の中核となる原因確率の合理性について明確な反対意見が出ている状況で意見が収斂されたとするのには無理がある。冒頭では、今回は項目立てにとどめたと述べながら、反対意見が出てもそれを黙殺することは、予断をもって「これまでの議論のまとめ(案)」が作成されたことに他ならない。検討会はアリバイ作りの場ではない!