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臓器移植法

衆議院本会議で臓器移植法改正案の採決が行われた

結果はA案が大差で可決された

私は反対票を投じた。臓器移植法改正そのものに反対したわけではない。

D案の賛同者だったためだ。

残念ながらA→B→C→D案の順に採決され、どれかが可決した時点で終了することとなっていたため、D案の採決は行われなかった。

今回の大差の可決は、およそ12年にもおよぶ立法の不作為をなんとかしなければならないという思いが議員各位に強く働いたからだと思われる。

私がD案の賛同者となったのも、15歳未満の子供たちに国内での臓器移植の道が閉ざされているなどという現状をなんとしてでも変えなければならない、一方医療における自己決定権という大原則をいかに考えるべきか、脳死を一律に人の死とする国民的合意はどれほどあるのか、などを総合的に勘案し、悩んだ末の結論だった。

ともあれ今回のA案可決で、臓器移植の議論は前に進んだことになる。

私としては、「臓器移植の場合に限り脳死を人の死とする」という訂正が参議院で行われることを期待したい。

現状のA案では、「脳死は一律人の死とする」と読めてしまうからだ。このままでは医療現場の混乱が容易に想像しうる。

また脳に重篤なダメージを受け、治療を続けているお子さんやそのご家族の思いも汲み取るべきだと考えているからだ。実際、国会事務所を訪ねてこられ、私自身そういった切実なお訴えも直接頂いている。移植を望む方々がいらっしゃる一方で、それと対をなすように今回はあまり報じられなかったかもしれない痛切な願いが込められている、D案支持、A案反対というのは私にとってはきわめて思い決断だった。

もう一点。参議院段階で私が望む修正は、「拒否の意思表示の担保、明確化」が図られるべきではないかということだ。

A案は他のBCD案と異なり、15歳以上も本人の意思表示は不要とされているからだ。

脳死状態になる前に臓器提供を拒否していなければという限定がつくものの、どのような形で拒否の意思表示をおこなうのか、必ずしも明確ではないように思われる。

家族の承諾で臓器提供を行った後で、本人が実は臓器提供に拒否の意思を示していたことが発覚した場合、重大な問題を引き起こしかねない。

従って参議院段階では自己決定権という大原則に立ち返り、どういう意思表示であれば、またどういう形式で行っていれば、拒否したと判断されるのか、逆にどういう場合には、「本人は拒否していなかった」とみなしうるのか、法文その他に明示されるべきではないかと考える。

いずれにしても参議院でなんらかの結論を得て、改正そのものは実現されるべき、一歩でも半歩でも前に進むべきだと私は考えている。

しかし臓器移植は立法措置ですべてが解決されるわけではない

実際に脳死状態の家族を前にしたとき、仮に本人が拒否していなかったとしても果たして臓器提供という決断を下しうるのか、のしかかるものはきわめて重い

また、そもそも不慮の事故等で脳が重篤なダメージを受けてしまうことのないよう、小児救急体制を諸外国並みに整備し、日本における幼児の死亡率の高さ(WHOの06年調査では13か国中アメリカ、オーストラリアについでワースト3)
を一刻も早く改善すべきであることは言うまでもない

もちろん救急医療体制の整備は、小児に限った話ではない。移植医療を進めていくという観点からも、慎重かつ厳正な脳死判定を担保できるだけのマンパワーを救急医療の現場に整備していかねばならない。日本の救急医はおよそ2000人、アメリカはおよそ3万人という指摘もある。

法の不備の解消、命を救えるだけの救急医療体制の整備、そして国民的理解。すべてがそろってこその移植医療だからこそ、慎重かつ冷静な議論が欠かせない