だから、ダイスケ - 松本大輔のホームページ

元衆議院議員 松本大輔のホームページ

ハト派の伝言再び

1.6月は住民税、国民健康保険料の請求月

 

先日、住民税を払いに行きました。今月は国民健康保険料の請求月でもあり、2月の確定申告とならんで、納税者であることを改めて意識する季節でもあります。

 

だからこそ、交渉経緯も明らかにされぬまま国有地が9割も値引きされたり、「ご意向」に沿って税金の投入先が捻じ曲げられたり、その幕引きを図るため、委員会の質疑さえすっ飛ばして法案を通すといったやり方は、さすがに度を越していると思わざるをえません。閉会中審査、あるいは臨時国会、すみやかに実施すべきです。

 

半島情勢が緊迫しているんだから、「かけ」だろうが「もり」だろうが総理のそばシリーズはもういいよという声を頂くこともあります。

 

でも、それならなぜ、自衛隊の最高指揮官たる総理は、官邸にいつでも緊急参集できる公邸ではなく、車で15分以上も離れた自宅にいまだに住み続けているんでしょうか。

 

弾道ミサイルは10分以内に着弾すると言われています。

 

総理を乗せた公用車が路上で立ち往生してる間にということにもなりかねない。

 

移動式発射台の導入や固体燃料式の開発など脅威の質は変化し、発射の兆候もつかみにくくなったと、去年から現場の自衛官には弾道ミサイルの破壊措置命令はずっと下令されっぱなしです。

 

そうなった以上、最高指揮官もそれ相応の対応を取るべきだと思うのです。

 

自衛官に警戒監視体制を解くなと言うのは当たり前かもしれません。でも、現場は去年からずっと、それだけの緊張状態を強いられているということです。なのに最高指揮官はこれまでどおり本来の持ち場を遠く離れっぱなし。防衛大臣もあの調子。

 

テロ対策の重要性もしきりに強調されますが、総理の動線をふさがれるテロリスクをどうお考えなのか。脅威の質が高まったという時代に、失礼ながら担当大臣は本当に適任なのか。

 

総理のご意向を最優先することが、いつも国益にかなうとは限りません。

 

元防衛政務官の一人としても、率直に申し上げてこういう危機管理は果たしていかがなものかと考えています。

 

税金の使い方にしても、安全保障にしても、法務委員会の質疑すらすっとばす横暴な国会運営にしても、与党であれ野党であれ、だめなことはだめ、おかしいことはおかしい、そういう健全な緊張感を政治に取り戻し、地に足付いたもう一つの選択肢をお示しできるよう、頑張っていきたいと思います。

 

2.ハト派の伝言再び

(1)コント

「共謀罪、難しいですよね、でも安心してください。大臣も分かってないんですから。」

ザ・ニュースペーパーさんのコントです。

 

実は代表者のわたべさん、こういう風刺コントも監視対象になりかねない、言いたいことが言えなくなるのではと、懸念を表明されていました。(ちなみに総理の物まねをされていらっしゃる福本ヒデさんは広島県出身です)

 

大臣も分かってないぐらい、犯罪の定義は曖昧だからです。

 

定義が曖昧と言うことは運用次第、だからこそ、逆言えば、いかようにも使いうる。

 

共謀罪は、信用棄損罪というものも対象になっています。

 

共謀罪ですから、実際には「信用棄損の表現行為」がなされていない段階で取り締まることになります。

 

つまりは、「表現行為」に対して、「表現がなされる前の段階」で取り締まれる。

 

このことについては、ザニュースペーパーさんだけでなく、ミュージシャンの佐野元春さんも先日のテレビ番組でコメントが紹介されていました。

 

加計学園のように、政権に不都合なことをしゃべろうとする人を貶しめるため、だまらせるため、この共謀罪が使われる可能性、全くないとは言えないと思います。

 

しかも、実行準備行為がなければ処罰しないとは言われていますが、実行準備行為がなければ捜査しないとは一言も言っていません。

 

性質が一変しない限り一般の団体は対象ではない。だとすれば性質が一変しないよう、あるいは性質が一変した瞬間をとらえるために、常時継続的な監視活動が正当化されていくかもしれません。

 

対象としては「周辺」も含まれるという答弁もありました 。

 

会話、通話、メール、ライン、移動の履歴、買い物の履歴、友達の友達はみな友達だと思われれば、知らないうちに自分も対象になってるかもしれません。

 

共謀罪はまだやってないことを取り締まる法律です。

 

「それでも僕はやってない」という冤罪事件をテーマにした映画、ご存じでしょうか。

 

あの映画を撮られた周防まさゆき監督も、この法案に懸念を表明されていました。

 

来年からは刑事免責制度もスタートします。共謀がなかったのにあったという証人が出やすい仕組みという側面は否めないと考えます。目撃者がたくさんと言うわきの甘い謀議は普通は共謀たりえません。他に目撃者がいない中で、裁判で密室での共謀の有無が争われた際に、被告人には総理の言う「悪魔の証明」という負担が重くのしかかることになりはしないか。

 

相当息苦しい監視社会になっていく可能性、冤罪事件に巻き込まれてしまう危険性。

 

国際組織犯罪防止条約は批准すればよいし、テロ対策も必要なもの、現行法から抜け落ちている穴は個別に埋めていけばよいと考えていますが、そうした懸念が払しょくされないまま、しかも法務委員会での質疑採決すらすっとばして300近い包括的共謀罪を一気につくるというのは、さすがに悪乗りが過ぎる、目に余ると言わざるをえません。

 

 

(2)ハト派の伝言再び

「ハト派の伝言」という本をご存知でしょうか。広島選出だった宮沢喜一元総理のインタビューをまとめた本です。

 

その中で、戦後の日本で一番いいことはと聞かれれば、私は「自由があること」と答える。これこそが社会の活力だからだ。ですから、これからの時代を生きていく人たちは、「自由の制限につながるような芽」を摘みと取っていく、その努力を怠らないでほしい。

 

そういう言葉で、この本は締めくくられています。

 

出版から12年が経ちますが、自由の制限につながるような芽、出てきているように感じているのは私だけでしょうか。

 

参考人質疑で指摘されていたように、刑法は犯罪の定義を行う法律であり、それは裏を返せば、人の行動が自由である範囲を規定する法律でもあります。

 

なかでも内心の自由についての規制はより抑制的であるべきです。

 

なぜなら、経済的自由に関する不当な規制立法は、民主政の過程で、つまり選挙で議会の構成を変え、議会でその不当立法を改正するという形で是正することが可能ですが、精神的自由に関する不当な制限は、さきほど触れたように表現の自由を制約することを通じて国民の知る権利という民主政の過程が正常に機能するための大前提を奪うことになるからです。法学部で教わる基本の一つです。

 

今年は宏池会60周年だと池田勇人元総理が注目を集めていますが、広島選出だったもう一人の宏池会出身元総理、憲法をいつもポケットに入れて持ち歩いていたという宮沢喜一さんが12年前に鳴らされたご警鐘、自由こそが社会の活力だと、だからその制限につながるような芽をとりのぞくその努力を怠らないでほしいと言うことば、今回の法案審議を聞いていても、加計学園をめぐる顛末を見ていても、残念ながらご炯眼だった、正鵠を射ていたと言わざるをえません。

 

3.人づくりはまず大人が自由闊達であることから

 

今月、共同通信がエドワードスノーデン氏に行っていたインタビューが記事になっていました。

 

 

スノーデン氏については、「シチズンフォー」というドキュメンタリーご覧になられた方もいらっしゃるかもしれません。

 

監視がなぜ問題なのか。それは人の知的探究心を制限するものであり、知的自由を侵害するものだから。このフィルムのスノーデン氏の言葉で、もっとも私の心に深く刺さったものです。くしくも先にご紹介した宮沢元総理の発言と符合しています。

 

911から1週間後、米国政府は国民を監視することを決めた。

愛国者法の下、テロを正当化の理由にしながら、米国のみならず世界規模の大量監視システムができあがっている様を告発したドキュメンタリーでした。

 

そこでも語られていたエックスキースコアという監視システム、スノーデン氏がスパイのグーグルとよぶ大量監視システムが米国家安全保障局から日本に提供済みであることが、この4月、明らかになりました。


横田基地に国家安全保障局の日本代表部があることも明らかになっています。

 

そうした中で、今回の共謀罪、共同通信のモスクワでのインタビューに対し、(表現の自由やプライバシーの制約につながると総理に書簡を送った)国連の特別報告者に同意する。日本における大量監視の始まりだとスノーデン氏は述べていました。

 

911後に成立した愛国者法でも米政府は同じことを言っていた、一般人を対象にしていない、テロリストを見つけ出すためだと、だが愛国者法成立後、これは「シチズンフォー」でも明らかにされていることですが、この愛国者法を米国だけでなく、世界中の通話記録収集などに活用したと述べていたのが大変印象的でした。

 

ちなみに「シチズンフォー」ではエックスキースコアのことを英ガーディアン紙の記者は次のように述べていました。

 

(国は、)全てにおいてテロを正当化の理由にしている、
全て国家の安全の為、国民を守るためとしているが、
実際は真逆だ。
存在する多くの資料がテロとも国家の安全ともなんら関係ないものだ。

メールの実際の内容、電話で話した言葉、グーグル検索で使用したワード。
訪問したウェブサイト、会社の同僚に送った資料まで。

重大なプライバシーの侵害が起きる。

個々人がオンライでしていることはほぼ全て追跡できる。

(たとえば)もし米国企業の競合会社に勤務していたら。
・・・・・

その他何でもいい。

彼らは簡単にあなたの通信を傍受できると。

 

 

実際、米国家安全保障局によって三菱商事の天然ガス部門、三井物産の石油部門などの電話回線が盗聴されていたことが、一昨年ウィキリークスを通じて明らかになったのはご承知の通りです。

 

つまりテロとは何ら関係ない。

 

また、リンカビリティという概念も「シチズンフォー」では説明が行われています。
メトロカード(交通系のICカード)、クレジット、携帯の位置情報、どこで何を買ったのか、近くにいたのはだれか、つまり会っていたのはだれかもわかる、私生活を丸裸にするメタデータが出来ると。

 

こういった監視によって何が起こるか、なぜ機密情報を暴露するに至ったかという点について、「シチズンフォー」ではスノーデン氏は次のように語っていました。

 

監視される前のインターネットは史上類を見ないほど画期的なものだったと。
(なぜなら)世界中の子どもたちが誰にでも対等に意見を言えた。
かれらの発想も話も分け隔てなく十分尊重された。
遠い場所にいる専門家たちとも意見を交換できた。
自由に何にも抑制されずに。

それがやがて変わってしまい
人々は発言を控えるようになった。
監視されていることが前提になった。
検索ワードに気を遣っている人も大勢いる。
記録されるからだ。
これは人々の知的探究心を制限するものだ。
ですから僕は刑務所に入れられることもその他悪い結果も
個人的にはいとわない。
それよりも避けたいのは僕の知的自由が侵されること。
自分と同じくらい大事な周りの人の自由も守りたい。
これを自己犠牲とは思っていない。
自分が人々のために貢献できるのだから。
人として満足している。

 

奇しくも宮沢元総理の「ハト派の伝言」と一致しているように感じたのは私だけでしょうか。

 

検索ワードに気を遣う、通話やメールでおいそれと冗談も言えない、議論もできない。

 

どこかの国かとみまがうような忖度が行き渡る国、自由にモノが言えず、大人が委縮ばかりしている国では、子どもものびのび育つはずがありません。

 

「人づくり革命」を標榜するなら、まず大人が元気であること、忖度と委縮に汲々としなくていい国を取り戻していかなければならないと思います。

 

元総理が広島から鳴らされた警鐘に、同じ広島県民として応えていきたいとも思っています。

 

これからも全力で頑張ります。