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大規模緩和

昨日の金融政策決定会合後の記者会見で、日銀総裁が来年も大規模緩和を継続する考えを明らかにしたと報じられています。

先日フェイスブックにもこの問題を書きましたが、今回は経常収支のデータに触れます。

今月9日、財務省から10月の国際収支が発表されました。
10月の経常収支は、約1000億(1279億円)の赤字でありました。

10月としては比較可能な1985年以降で過去最大となる約1兆円の貿易赤字も記録しています。

11月についても、18日に発表された貿易統計の速報でも貿易赤字は約1兆3000億円。

昨日の記者会見で日銀総裁も語っている通り、円安は進んだものの輸出の伸びは限定的です。

原発がとまって、それにかわるLNGなどのエネルギーの輸入の拡大が長期化している中で、円安誘導は輸出額を押し上げるよりも、むしろ燃料輸入額の増大、貿易赤字の拡大のほうに寄与していることが、こうした国際収支や貿易統計といった客観データから明らかになりつつあります。

いやいや日本ではもう2005年ごろから貿易収支よりも所得収支で稼ぐ時代になっているんだ。

すでに2005年ごろから所得収支の黒字が貿易収支(の黒字)を上回っているんだ。

貿易赤字でも、所得収支の黒字でカバーして、経常収支全体として黒字を維持できていればいいじゃないか。そういうご指摘もあるかもしれません。

では経常収支はどうか。その経常収支が直近10月は約1000億の赤字だった。そして今年1月から10月分までを足し合わせてみると(財務省のHP見てみてください)、経常黒字は暦年ベースのこの10か月で約8000億―9000億減少しているのが分かります。

なぜか。1-10月の所得収支の黒字は累計で前の年の同じ期間と比べて2兆円ぐらい増えたものの、貿易赤字の拡大幅はそれを1兆円以上、上回っているからです。

つまり、今年1-10月の国際収支を見る限り、円安誘導は、所得収支の黒字を拡大させる以上に、エネルギー輸入額の増大を通じた貿易赤字の拡大の方に、より大きく寄与しており、全体としては暦年ベースの経常収支の黒字を前年同期比で8000-9000億円減少させてしまっている。これまでのところ、全体として経常収支を悪化させる方向に寄与してしまっている。月次ではありますが、10月はついに経常赤字に転落してしまった。

これが進んで国富が海外に流出を続けるという状況になったとき、財政赤字の買い支えを行ってきた大前提は崩れ去ることになります。

すでに昨年の時点で貿易赤字は過去最大、一方、経常収支の黒字は統計開始以来過去最少という状況でありました。
こうした構造的な円安要因、構造的な金利上昇要因をはらんでいる中での異次元の金融緩和は、やはり強烈な副作用をもたらす可能性が否定できないと考えます。

国債価格が下落すれば、それを大量に保有する金融機関の資産価値も下落します。

自己資本比率が低下すれば金融不安、経済不安につながってくる可能性をはらんでいるわけです。

しかもヨーロッパの国々に比べて圧倒的に多額の国債発行残高を抱える我が国でひとたびそれが起こった時のインパクトはどうなのか。

もちろんスタグフレーションリスクも考えなければなりません。日銀総裁は輸出と設備投資、賃金がポイントとかたったと報じられていますが、消費増税を控えている中での円安誘導です。
すでに輸入物価の上昇が起こっています。消費増税インパクトに拍車をかけることにもなりかねないわけです。たとえば食料品やガソリン、灯油、燃料などのほうが、給料よりあがってしまったら、同じ給料で買うことができる品物は少なくなります。つまり実質賃金はマイナスです。困るのは国民です。


また、いくらマネーが供給されても、そのお金が動かなければ景気は良くなりません。ゼロ金利の下で私も銀行員をしておりましたけれども、いくら金利が低くても、投資環境が整った、この分野で需要が伸びる、成長する、だからキャッシュフローで借りたお金の償還計画が立てられる、資金繰りの見通しがつく、そういう事業計画に明るい見通しが立たなければ、設備投資や増加運転資金需要といった前向きな資金需要というのは発生しづらいものです。

だからこそ、ゼロ金利をやろうが、量的緩和をしようが、お金が動いてこなかった。後ろ向きの赤字資金、つなぎ資金の需要はあっても、前向きな増加運転資金、設備投資資金、そういう貸し出しは増えなかった、金余りが続いてきた。余った金は実体経済には生かされず、資産バブルを生み、それがはじけてむしろ実体経済を深く傷つけてきた。それがこの10数年だったのでは無いでしょうか。

だからこそ、金融政策だけに過剰な期待を持つべきではない、やはり成長分野をしっかりと作っていくこと、日本のとりわけ非価格競争力を強化する取り組みを政府として後押しすること、こういった取り組みこそがデフレ脱却の王道だと考えます。

猪瀬さんや東京都知事選などの報道に隠れ、あまり注目されていないかもしれませんが、円安誘導にもかかわらず、実は貿易赤字は続いている。むしろ悪化、長期化しており、所得収支の黒字幅の拡大以上に、貿易赤字の拡大が起こっている。これまでのところ、全体として経常収支を悪化させる方向で寄与してしまっている。

物言えば唇寒しという状況かもしれませんが、それでもこれは我々だけが言っている主張ではなく、国際収支という客観データが鳴らしている警鐘でありますので、そこから目を背けることなく、チェック機能という野党の責務を今後もしっかりと果たしていきたいと思います。

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写真は12月21日、
アルパークでの街頭演説にて